Yahoo!ニュース

日経平均は1990年8月以来の3万円台回復、これはバブルなのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 15日に東京株式市場で日経平均は1990年8月以来の3万円台回復となった。12日の米国株式市場では主要な3つの株価指数、ダウ平均とナスダック、S&P500種とともに過去最高値を更新したことで、その流れが15日の東京株式市場を押し上げた格好に。

 12日の米国株式市場の上昇の背景には、バイデン大統領がファイザーとモデルナとワクチンの追加供給の契約を結び、7月末までに約3億人の米国民に2回の接種ができる在庫が確保される見込みとなったことが好感された。これによって、今後の経済の正常化が意識されたことや、米長期金利の上昇を受けて、金融株なども買われたことで、高値更新となった。

 この日の米10年債利回りは節目とされた1.2%を超えてきた。ワクチン普及による経済活動の正常化に加え、米債の発行圧力、そして原油高なども加わっての先行きの物価上昇観測も強まり、米債は売られた。

 12日のロンドン株式市場では、この日発表された10~12月期GDPが前期比1.0%増となり、景気後退(リセッション)に戻る事態を避けられたことが好感されたとか。2020年の英国GDPは過去最大の落ち込みとなった。

 15日の朝方に発表された日本の10~12月期GDP1次速報値は、実質で前期比3.0%増と2四半期連続のプラス成長になった。年率換算では12.7%増となり、予想のプラス7.97%を上回ったことも、15日の東京株式市場では好感されたとみられる。

 ただし、2020年の通年の日本のGDPは前年比4.8%減となり、リーマン・ショック翌年の2009年以来、11年ぶりのマイナス成長になった。これについては12日のロンドン株式市場と同様に織り込み済みとみられる。むしろ10~12月期の数字が予想よりも良かったことが好感された。しかし、今年の日本の1~3月期では2020年4~6月期以来のマイナス成長に転落するとの見方が強まっている。

 中央銀行による大胆な金融緩和策と政府の大規模な財政政策によって実体経済以上に株価が押し上げられている構図となっている。まさにバブルとの見方もできようが、バブルは崩壊するまでバブルとは認定されない。いまのところそれが崩壊する兆しは見えないが、長期金利の上昇など注意すべきものも出てきている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事