米国ではブルーウエーブが実現、米長期金利は1%台に上昇
米国のジョージア州で行われた上院2議席をめぐる決選投票では、両議席ともに民主党候補が当選確実となった。これにより上院での民主・共和両党の獲得議席はいずれも50議席となり、副大統領に就任する民主党のカマラ・ハリス氏が決定票を握ることになる。
これを受けて6日の米国株式市場では、民主党が推し進めようとしている追加経済対策やインフラ投資の拡大が期待されて、景気敏感株を中心に買われた。これに対して、ハイテク関連企業については規制が強化されるのではとの思惑も出たことで、ナスダックは下落していた。
銀行株も買われていたが、これは米長期金利の上昇が影響していた。大型の追加経済政策が現実化しつつあり、その資金は国債発行で調達せざるを得ない。このため、米国債の需給悪化が意識されて、米10年債利回りは上昇(価格は下落)し、昨年3月以来となる1%台で取引を終えた。
今回の選挙結果を受けて、ホワイトハウスと上下両院を全て民主党が押さえるというブルーウエーブが実現したことになる。ブルーは民主党のカラーである。
6日のダウ平均は過去最高値を更新した格好ながら、ここまで米国株式市場を引っ張ってきたアップルやアマゾンなどのハイテク株が利益確定売りに押されていたことは注意すべきか。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、ワクチンの効果が出るのもまだ先とみられる。その上、バイデン次期大統領の当選に反発するトランプ大統領の支持者が議事堂の周囲を包囲し、一部が建物に侵入して審議が中断、政府が州兵を出動させて対応に乗り出すという事態も発生した。
この前にトランプ大統領が集会で支持者に議事堂に向かうよう促していたように、トランプ大統領はホワイトハウスを譲る気はないように思われ、これはこれでひとつのリスクとなろう。
米国大統領の就任式は1月20日に行われる。過去の就任式と今回は様相が異なっており、それまでにさらなる混乱が生じる懸念もある。バイデン氏にとって新型コロナウイルスとの戦いの前に負けたはずの赤鬼をまず退散させる必要がある。