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法人企業景気予測調査による大企業の製造業の景況感は2四半期連続のプラスに

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 内閣府と財務省が10日に発表した10~12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス11.6となった。2四半期連続のプラスで、7~9月期のプラス2.0からさらに改善した(10日付日経新聞)。

 法人企業景気予測調査とは、法人企業統計調査の予測版といえるものとなる。

 法人企業統計調査とは、金融・保険業を除く日本の営利法人(日本国内に本店を有する合名会社、合資会社、合同会社、株式会社)の企業活動の実態を把握するため、全国の財務局及び財務事務所等を通じて調査票を送り記入されたものを集計している。

 法人企業統計調査で注目されるのは3月、6月、9月、12月に発表される四半期別調査。この中でも特に設備投資の動向に注意が払われている。これはGDPの設備投資の集計に対し、法人企業統計調査が反映される基礎統計となっている。

 その予測版となる法人企業景気予測調査は、それほど市場の注目度は高くはない。しかし、同様の経済指標といえる日銀短観と比べ、調査対象企業数は上回っており 、特に中小企業について多くの企業を調査対象に組み入れているとされる。

 ちなみに次回の日銀短観は14日に発表されるされる予定で、それを占う上での参考指標ともなりうる。

 10~12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の製造業はプラス21.6、非製造業はプラス6.7と、ともに2四半期連続のプラスとなった。製造業は7~9月期のプラス0.1から急改善し、プラス幅は過去最大に達したそうである。特に自動車関連が上昇に大きく寄与した。

 来年1~3月期の見通しも大企業製造業はプラス5.1、非製造業はプラス3.1とプラス予想となっている。ただし、中堅企業は1~3月期の見通しはマイナス4.2とマイナスに転じる予想となっている。中小企業は10~12月期の現状判断でマイナス15.5となり、1~3月期の予測でもマイナス16.1と厳しい状態が続いている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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