日銀短観にも反応薄となった東京株式市場
10月1日に発表された9月の日銀短観で、大企業・製造業DIはプラス5と前回6月調査から2ポイント悪化した。悪化は3四半期連続となった。大企業・製造業DIでのプラス5というのは2013年6月調査以来の低水準ともなる。先行き見通しはプラス2とさらに悪化を見込む。
そして大企業・非製造業DIはプラス23、先行きはプラス15と8ポイントの悪化を見込んでいる。10月からの消費増税による個人消費への影響も意識されてのものと思われる。
大企業・全産業の設備投資計画額(含む土地投資額)は前年比6.6%増となり、前回調査の同7.4%増から下方修正された。これについて日銀はまだ高水準を維持しているとの判断のようである。
2019年度の為替想定は1ドル108円68銭と前回の109円35銭から円高方向に設定された。これによる外為市場への影響も限定的であった。ちなみに短観が発表された10月1日のドル円は108円台前半での動きとなっていた。
大企業・製造業DIについては事前予想は上回ったこともあってか、10月1日の東京株式市場も短観に対してはほとんど反応薄となっていた。
たしかに、ここにきての東京株式市場は国内材料にはほとんど反応せず、米中の通商交渉などの行方に一喜一憂する米国市場の動きのほうに連動しやすくなっている。
外為市場ではリスク回避の円高が起きにくくなっていることもあり、ドル円がしっかりしていたこともあって、株式市場では売り材料とはならなかったのかもしれない。
しかし、過去の日銀短観と日経平均の動きをみるとある程度の連動性があるときが多かった。株式市場は先行きの予測で動きやすく、企業経営者の景況感とある程度シンクロしていることが多かったと思われる。
これに対して、ここにきての日本の株価やドル円の反応については、なかなか解釈が難しくなりつつある。今回の短観をみても国内景気については減速の懸念が強まっているものの、市場ではそれほど悲観的な見方が強まっているようには思えない。
市場はその時々によって反応するが異なり、それぞれの反応度が異なっていることは確かである。今回も東京株式市場などでは、国内要因への反応度が低下していたことは確かであろうが、それでもどこか腑に落ちない。
これも相場であることも確かながら、国債利回りの動きを含めて、ファンダメンタルズからは説明しづらい状況となっている。いずれその歪みが解消されるタイミングがあるのではないかと思われる。