ファーウェイ制裁によるGAFAへの影響も
GAFAとは米国に本拠を置くGoogle、Amazon.com、Facebook、Apple Inc. の4つの主要IT企業の頭文字を取って総称する呼称である。「The Big Four」とも称される現在のハイテク・グローバル企業の覇者といえる。
この4社を含めて、グローバル企業が現在の米国の景気を牽引しているといえる。その米国のグローバル企業の多くは中国との関係が大きい。中国への依存度が高い企業としてキャタピラーや3M、ボーイングなどが挙げられるが、GAFAのなかではアップルなどが製品の中国での売り上げとともに、組み立て工場などを通じた依存度も高いものとなっている。
反対に中国企業もまた米国の企業への依存度が高い。今回の米国によるファーウェイ制裁において明らかとなったように、スマートフォンのOSなどではグーグルのシェアが高いというか、現在はグーグルのアンドロイドかアップルのiOSでほぼ占められている。
米商務省によるとファーウェイが既存ネットワークの保守や既存のスマートフォン向けのソフトウエア更新を行えるようにする一時的な措置を発表した。これはファーウェイの既存顧客を支援するための措置で、米政府が前週発表した同社への規制を緩和するものとなる。一時的措置は8月19日まで認められる(ロイター)。
ただし、8月19日を過ぎればファーウェイのスマートフォンでグーグルのアンドロイドが使えなくなることが予想される。これに対してファーウェイは今秋にも、スマホなど向けに自社開発した基本ソフト(OS)を実用化すると22日の日経新聞が伝えた。
アンドロイドとiOSでほぼ占められているOSの牙城を切り崩せるのかは、そのOS次第の面がある。しかし、中国となると日本でよく揶揄されるガラパゴス化と言う表現は使えないかもしれない。中国の人口、さらに中国と親しい中東やアフリカなどの人口を考慮するとガラパゴスという島ではなく大陸規模となる。もしそれなりに使えるOSとなれば、ファーウェイのOSが一気に普及し、「The Big Four」の牙城を切り崩してくる可能性も否定はできない。
たしかにファーウェイへの制裁は、ファーウェイそのものだけでなく、米国や日本などのハイテク企業の業績に影響を与えかねない。ただし、これによって半導体などの需要そのものが大きく落ち込むことも現状は考えづらく、シェアだけが変化する可能性はある。
トランプ大統領は中国を攻めるつもりだったのが、いわゆるコラテラル・ダメージによって自国企業に悪影響をもたらす可能性がある。今後米国株式市場がどのような動きを示すかにも注目したい。ちなみに22日の米国株式市場は、中国販売が禁止された場合におけるアップルへの業績の影響が懸念されてアップルなどが売られ、ダウ平均は100ドル安となっていた。