FRB議長候補の顔ぶれ
FRB議長の任期は4年で、イエレン議長は来年2月3日で任期満了となる。再任の可能性は残るものの、ここにきて何人かの候補者が浮上している。人事権を持つトランプ大統領はすでに候補者との面談を始めているようで、今月中旬にも最終決断するようである。
米国で大統領に次いで影響力を持つとされ、その言動で市場が動くことからFRB議長人事はかなりの関心事となる。今回は候補とされる人物について確認してみたい。
トランプ大統領は9月29日にすでに4人と面談したとされている。そのなかのひとりがFRBのジェローム・パウエル理事である。パウエル氏はジョージ・ブッシュ政権で財務次官を務めた。FRB入りする前はカーライル・グループの共同経営者を務めるなどウォール街の経験も長い。
スタンフォード大学経営大学院講師を務めるケビン・ウォーシュ元理事も候補とされている。米メディアによると、ウォーシュ氏の妻は米化粧品大手エスティローダー創業者の孫で、義父はトランプ氏と学生時代から交流があるとされる。
最も有力とされたコーン国家経済会議(NEC)委員長であるが、ユダヤ系米国人の同氏が人種差別を容認しかねないトランプ大統領の発言に憤り、辞任観測が浮上。一時トランプ大統領はコーン氏を次期議長の候補としないと伝えられたが、まだ候補のひとりとして残っているとの見方もある。
ほかに、テーラー・ルールで有名なスタンフォード大学のジョン・テーラー教授も候補のひとりとされているが、いまのところ可能性としては低いように思われる。
そして、もうひとりの有力候補がイエレン現議長となる。FRB議長の任期は4年だが、前任のバーナンキ氏やグリーンスパン氏は2期8年以上議長を務めた。もちろんこれは任期満了時の政権が再指名したことで長期体制となったわけだが、イエレン議長についてはトランプ大統領となってやや不透明感を強めた。しかし、トランプ大統領は就任後に「大いに尊敬している」と選挙期間中の批判的な態度を一変させるような発言をしていた。イエレン議長はトランプ大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカ・トランプ氏と7月に会談するなどしていた。
選択権がトランプ大統領にあり、リベラル色の強いとされるイエレン議長の続投を認めるかは不透明ながら、イエレン氏が希望しているのであれば、FRBの正常化がまだ道途中であることを考慮して、続投という可能性がいまのところ高いのではないかと個人的には思う。