国内投資家は4月の大量の外債の売り越しから、5月は大量の買い越しに転じていた

(提供:アフロ)

少し前のデータとなってしまうが、5月11日に公表された4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となってた。

ただし、このデータでは具体的にどの国の債券を売ったのなかまでは把握できなかった。それが6月8日に公表された国際収支の付表で確認することができた。参考までにこの国際収支の付表がアップされるサイトは下記となっており、そのなかで今年4月分の速報値の「付表3」の「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認できる。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

これによると4月に国内投資家は米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。また、ドイツのソブリン債(中長期)も6319億円売り越していた。

昨年12月からの売り越しの内訳を「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認してみると12月は米債を2兆3894億円、フランスの債券を1483億円売り越していた。1月は米債を1兆6298億円、フランス国債を1894億円売り越し、2月は米債を1326億円、フランス国債を1兆5180億円売り越し。3月は米債は1兆398億円の買い越しとなっていたが、フランス国債を9428億円売り越していた。

4月のフランスのソブリン債(中長期)については1971億円の売り越しに止まっていたため、4月の外債の売り越しの要因はフランス大統領選挙などを睨んだリスク回避とかではなかったようである。

地銀などは日銀のマイナス金利政策の影響で日本国債で利回りが稼げず、外債投資を増加させていた。しかし、金融庁は外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することになり、特に4月に地銀などが保有する米国やドイツの国債のポジションをいったん大きく削減させていた可能性もあった。

ところが、6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況をみると、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下している。これは日本の投資家の買いも背景にあった可能性が出てきた。4月は単純に利益確定売りであった可能性も否定はできない。また、それまでかなり売り越してしまった分、資金の運用先に困っている状況に変わりはなく、米債の利回りなどをみて押し目買いを入れてきた可能性もある。

「5月の対外対内証券投資売買契約の状況」財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/month.pdf

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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