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4月の債券市場では銀行系が売り越しに、期初の益出しか

久保田博幸金融アナリスト
(ペイレスイメージズ/アフロ)

5月22日に日本証券業協会は4月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 13436(5374、-4561、12299)

地方銀行 5061(229、3474、1157)

信託銀行 3620(-1058、6015、-656)

農林系金融機関 7363(390、5968、162)

第二地銀協加盟行 17(170、90、260)

信用金庫 3172(1308、1890、286)

その他金融機関 1871(-679、2650、284)

生保・損保-1019(-775、458、261)

投資信託-345(702、-228、-399)

官公庁共済組合 284(206、7、0)

事業法人-323(-25、-6、0)

その他法人-562(46、6、-285)

外国人-21075(-3562、-4623、-11957)

個人 169(2、27、3)

その他 28729(8964、3741、19539)

債券ディーラー-589(-253、119、-444)

4月の国債の投資家別売買高をみると都銀は1兆3436億円の売り越しとなった。3か月連続の売り越し。売りは中期と超長期で長期債は買い越しに。4月ということで期初の益出し売りの可能性があり、地銀や信託なども総じて売り越しとなっていた。地銀は5061億円の売り越し。信託銀行が3620億円の売り越し、農林系が7363億円の売り越しとなった。ただし、売り越し金額でのトップは「その他」の2兆8729億円となっており、中期と超長期主体に売り越しとなった。3月も大量に売り越しており、引き続きゆうちょ銀行の売りであろうか。

買い越し額のトップは海外投資家で、中期債主体に2兆1075億円の買い越しとなっていた。

4月の日本の債券市場は北朝鮮などの地政学リスクやフランス大統領選挙を控えて欧州政治の不透明感の高まりから質への逃避の買いが入り、米10年債利回りは2.10%台に低下し、4月19日の日本の10年債利回りもゼロ%まで低下した。ただし、23日のフランスの大統領選挙では、マクロン前経済相と国民戦線のルペン党首の2人が決選投票に進んだ。急進左派・左翼党のメランション氏とルペン氏の最悪の組み合わせは回避されたことで、リスク回避の反動が起き、次第に上値が重くなった。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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