Yahoo!ニュース

米国債保有高では3月現在で日本がトップ、4月に中国に逆転される可能性も

久保田博幸金融アナリスト
米財務省のデータを基に作成(単位、10億ドル)

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本で1兆1185億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆876億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り

(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1118.5

中国(China, Mainland)  1087.6

アイルランド(Ireland)  315.1

ブラジル(Brazil)  259.5

ケイマン諸島(Cayman Islands )249.9

スイス(Switzerland)  234.5

英国(United Kingdom) 227.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )217.1

香港(Hong Kong)  201.9

台湾(Taiwan) 185.2

1位の日本については、4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。このため、米国債の保有額が大きく減少してくる可能性がある。ただし、この数字が直接、この米財務省が発表している米国債国別保有残高に反映されない可能性もある。こちらも4月の数字が要チェックとなりそう。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、2月にはかろうじて3兆ドルを回復しており、米国債保有高もここにきてやや増加傾向にある。4月に順位が入れ替わるのかどうか確認したい。

3位にアイルランドが入っているのは低い法人税により、アップルやグーグル、フェイスブックを含め米企業700社以上がアイルランドに子会社を置いており、そこで得た利益がアイルランドの銀行にプールされ、それを米国債で運用しているためとの指摘もある。たしかにユーロ危機の際にはアイルランドも財政危機に陥ったように、国そのものには余裕なくこの金額の米国債を保有しているというのは米国企業などに依存している面は大きそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事