株価急落、日本国債は買い進めず
東京株式市場は調整局面入りし、日経平均は21000円手前で跳ね返された格好で、24日には19000円を割り込んだ。中国の元切り下げなどもきっかけではあったが、中国経済の減速傾向がはっきりし、世界的な景気減速への警戒が世界の株安連鎖の背景にあるとみられる。
原油先物市場でWTIは節目とされた40ドルを割り込んでいる。これはディスインフレも連想させ物価に対しては抑制要因となるが、資源国にとっては流動性相場の巻き返しもあってかなりの痛手となる。
外為市場ではドルが売られユーロが買われた。9月のFOMCでの利上げも意識されてドルはしっかりとなっていたが、株安もあり9月の利上げ観測が後退したことでドルは下落。リスク回避のドル買いではなく、今回はむしろギリシャのゴタゴタで下落していたユーロが買い戻された格好となっている。
このなかにあって自主的に動けなくなっていたのが円であった。しかし、24日の夜にドル円は急落(円が買われドルが下落)、一時116円台を付けてきた。日銀も動きたくても動けない状態のなか、政府も課題が山積みとなり、高い支持率の基盤となっていた株価の下落どころではなくなっている状況にある。
株式市場での負の連鎖もさすがにどこかで止まるとは思うが、いまのところその兆候も見えない。日経平均は日中足でみるとここにきて大きく窓を空けている。「三空叩き込みに買い向かえ」との酒田五法の相場の教えがあるが、そのようなチャート形成となりつつあり、このあたりチャートも意識する必要があるかもしれない。
株価の急落があり、原油価格も下落もあり、環境としては非常に良いはずの債券市場であるが、ここにきて上値が重くなっている。もちろん買われてはいるが、その買われ方もかなり慎重になっている。21日に10年債は0.350%をワンタッチしてから戻り売りに押され、債券先物も24日のイブニングで148円20銭台をつけたあと下落し148円割れとなった。
米利上げは9月が見送りでも、いまのところ年内の可能性は依然残っていることを考慮すれば、円債もあまり買い進みたくないのかもしれない。少なくとも国内にあっては、日本国債をこの水準から買い進める投資家は多くはない。2年の金利はゼロ近辺、5年債は0.1%の超過準備の付利を割り込んでいる。長いところの金利にしても生保など運用に見合う水準ではない。国債発行額の9割も日銀に吸い上げられているなか、短期的な利鞘狙いの買いなど仕掛ける向きもいないと思われる。
7月と同様に国債をここから買うことができるとすれば海外勢であろう。しかし、あくまで海外勢の日本国債の買いはリスク回避によるものであり、中短期債が中心である。相場を下支えても、相場を持ち上げる主体とはならない。このあたりが日本の債券相場が高値圏での膠着状態となっている要因と思われる。