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牛さん熊さんが2014年の債券相場を振り返る

久保田博幸金融アナリスト

熊「昨年の債券相場を振り返ってみたい」

牛「昨年の債券先物の寄り付きは143円32銭、10年債は0.725%と0.7%台でスタート」

熊「1月の20年国債入札は応札倍率が20年債としては過去最高の倍率を記録」

牛「1月の債券先物は144円台に上昇し、10年債利回りは0.6%台に」

熊「2月に入るとさらに買い進まれて、10年債は0.6%を割り込む」

牛「超長期債は乱高下したが、日銀の国債買入などで先物も145円台に乗せてきた」

熊「2月に日銀は10年超の国債買い入れ額を減額していた」

牛「2月末にかけては、ウクライナの地政学的リスクも意識しはじめていた」

熊「3月に入り、ウクライナ情勢の緊迫化でリスク回避の動きも強まるが」

牛「やや不安定な地合となるなか、3月13日に債券先物は一時1円安に」

熊「しかし、売りも一時的となり、その後の債券相場はしっかり」

牛「イエレン氏が初めて議長として臨んだ3月のFOMCでは」

熊「正常化に向けた道筋をさらに印象づけた。相当の期間とは半年程度との発言も」

牛「債券先物は145円台、10年債利回りは再び0.6%割れに」

熊「3月24日に東証のデリバティブ市場が大阪取引所のデリバティブ市場に統合された」

牛「28日にオバマ大統領とプーチン大統領が電話会談を行い、ウクライナの地政学的リスクは後退」

熊「4月に入り日経平均は15000円台を回復し、債券はやや上値が重くなった」

牛「4月7日からは超長期先物取引が再会された」

熊「5月に入ると膠着感が強まったが」

牛「ギリシャは連立政権が支持を失いつつあることが示され、リスクオフの動きも」

熊「日経平均は一時14000円割れとなったが、債券先物は145円近辺での動きに」

牛「その後、欧米の長期金利低下を受け先物は145円60銭台、10年債は0.560%」

熊「6月5日のECB理事会では、利下げなどを含むパッケージの追加緩和策を決定した」

牛「預金ファシリティ金利だけではなく、超過準備にもマイナス金利を適用した」

熊「欧州の債券は追加緩和を好感し買い進まれ、米債も買われるが円債の上値は重かった」

牛「日銀が国債買入の運営を再び見直すことを発表し、超長期債が売られる場面も」

熊「米国の1~3月期GDP確報値は年率でマイナス2.9%となり、改定値のマイナス1.0%から下方修正」

牛「イラクでは反政府武装勢力が主要な空軍基地を攻撃したことで、地政学的リスクも意識され」

熊「6月26日の債券先物は145円67銭まで上昇し、2013年4月5日以来の高値を付けた」

牛「7月10日に3か月物TDBがマイナス0.002%で取引が成立し」

熊「2006年の量的緩和解除後では初めてのマイナス金利が発生した」

牛「7月16日には1年物の短期債がゼロ%で出合った」

熊「ウクライナ東部で乗員乗客295人を乗せたマレーシア航空機が撃墜され」

牛「再び地政学的リスクが強まり、債券先物は18日に146円台に、10年債は0.510%に」

熊「8月に入り、GPIFの運用改革で少し動揺する場面もあったが高値圏での膠着相場に」

牛「オバマ米大統領がイラクにいる米国人を守るため、限定的な空爆の実施を承認したと表明し」

熊「8月8日の日経平均は節目の15000円を割り込んだ」

牛「8日の引けあと10年債利回りは一時時0.500%に低下した」

熊「ドイツのGDPが前期比マイナス0.2%となり、14日のドイツの長期金利1%割れ」

牛「15日に日本の長期金利も0.5%割れに」

熊「その後、円安の流れが強まり、債券は上値が重くなっていた」

牛「ECBの追加緩和期待など背景にイタリア、スペイン、ポルトガルの長期金利は過去最低を更新」

熊「債券先物は再び最高値を更新」

牛「9月に入りドル円は105円台、ユーロ円も138円台と流れは円安に」

熊「9月4日のECB政策理事会では、政策金利のリファイナンス金利を過去最低の0.05%に」

牛「上限金利の限界貸出金利を0.30%に、下限金利の中銀預金金利をマイナス0.20%に引き下げた」

熊「ユーロ圏の国債は中短期債主体に買い進まれ」

牛「2年債利回りはドイツだけでなく、オーストリアとベルギー、フランス、オランダなどもマイナスに」

熊「ただし、5日の円債は米債安などから下落し、一時146円割れ」

牛「9月11日にドル円107円台と約6年ぶり水準をつけ、日経平均先物は16000円に接近」

熊「17日に1年物TDBもマイナス金利になるなどしたことで、債券先物には買い戻しも」

牛「スコットランドの住民投票では、独立は否決される見込みとなった」

熊「8月のCPIが消費増税の影響除いて1.1%と予想を下回り、先物は一時146円台回復」

牛「ECBの追加緩和観測もあり、ユーロはドルに対し2年ぶりの安値をつけ」

熊「10月1日にドル円は6年ぶりに110円台を回復した」

牛「IMFが世界経済の成長見通しを下方修正したことなどから、10年債は再び0.5%割れ」

熊「債券先物は15日のイブニング・セッションで146円60銭まで上昇し過去最高値を更新」

牛「小渕優子氏は20日、政治資金の不透明な記載問題浮上を受けて辞任を表明した」

熊「23日のTDB(3か月物)の入札で、国債の入札として初めてのマイナス金利が発生した」

牛「29日に債券先物は146円61銭と過去最高値更新」

熊「29日のFOMCにおいて、毎月の米国債とMBSの150億ドルの買入れを停止することを決定した」

牛「31日、日銀は金融政策決定会合で追加緩和を決定。量的質的緩和の第二弾」

熊「マネタリーベースが年間80兆円(10~20兆円追加)に相当するペースで増加するように金融調節を行う」

牛「長国は保有残高が年間80兆円(約30兆円追加)に相当するベースで増加するよう買入れを行う」

熊「予想外の日銀の追加緩和を受けて、この日の債券先物は146円78銭まで一時上昇」

牛「ニューヨーク市場で原油先物は下落し、3年ぶりの安値をつけてきた」

熊「11月に入りダウ平均やS&P500は過去最高値を更新」

牛「17日発表された今年7~9月期GDP一次速報値は、年率換算ではマイナス1.6%と予想外のマイナスに」

熊「19日に2年新発債の利回りはゼロ%と10月17日に付けた0.005%を下回り過去最低に」

牛「ドル円は7年3か月ぶりとなる118円台をつけた。どう転んでも円売りとなりそうな状況に」

熊「21日に衆議院本会議で伊吹衆議院議長が解散詔書を読み上げ、解散」

牛「27日に10年債利回りは0.425%と昨年4月5日以来の水準に低下」

熊「2年債利回りもついにマイナスに」

牛「WTI原油先物は66.15ドルと2009年9月以来の安値となり」

熊「12月1日にドル円は119円台、5年債利回りは0.1%割れ、債券先物は高値更新」

牛「1日にムーディーズは日本の政府債務格付けをAa3からA1へ1段階引き下げた」

熊「そんなの関係ねえとばかり、2日の5年債は過去最低利回りを更新」

牛「3日に債券先物は初の147円台」

熊「5日にドル円は120円台を回復し、債券先物は連日の最高値更新」

牛「8日発表の7~9月期GDP二次速報は実質で前期比0.5%減、年率換算では1.9%減と下方修正」

熊「10日には10年債が0.4%割れとなった。11日にはWTI先物が2009年7月以来の60ドル割れ」

牛「14日の衆院選で、自民党と公明党が三分の二以上の議席を確保し勝利」

熊「24日の2年債入札で初のマイナス金利、10年債利回りは0.310%と過去最低を更新」

牛「26日に10年債利回りは一時0.300%に低下し」

熊「債券先物は148円に接近して、今日に至る」

牛「さらっと昨年の債券を振り返ったが、結局、債券先物は過去最高値を更新」

熊「マイナス金利も波及し、10年債利回りも過去最低を記録」

牛「今年はこの記録をどこまで伸ばせるか」

熊「もしかすると、日銀次第ではかなりの波乱になる可能性もあるかも」

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

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「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

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