FRBの利上げは出口にあらず
FRBの今後の金融政策に関しては、イエレン議長などの発言からは市場に具体的な時期の憶測を与えないようにしていることがうかがえる。あくまで雇用などを含めての米国経済の動向次第との姿勢を崩していない。
市場では景気の先行きは不透明なため、利上げはかなり遅れるとの見方があった。これに対してイエレン議長は、米経済動向が引き続き予想を上回れば事実上のゼロ金利政策を「相当な期間」維持する方針を見直す可能性を指摘した。よほどの景気の下振れでもない限り、FRBはテーパリングの終了からそれほど時を置かずに、次の段階となるゼロ金利解除、それはつまり利上げを実施してくるであろうことは確かであろう。
FOMCの今後の予定を確認してみたい。次回会合は10月28、29日。この会合で米国債とMBSの毎月の買入れを150億ドルからゼロにして、テーパリングを完了させるとみられる。年内はあと12月16、17日の会合(議長会見あり)を残すのみとなる。
2015年のスケジュールを確認すると以下のようになっている。
1月27、28日
3月17、18日(議長会見あり)
4月28、29日
6月16、17日(議長会見あり)
7月28、29日
9月16、17日(議長会見あり)
10月27、28日
12月15、16日(議長会見あり)
議長会見の有無はさておき、個人的にはイエレン議長の就任直後の会見での、相当な期間を半年とした発言と、2006年に日銀が量的緩和解除からゼロ金利解除までに要した期間の4か月程度を参考にすると、3月もしくは4月のFOMCで最初の利上げの可能性が高いとみている。
ゼロ金利解除にあたっては、それを決定するメンバー構成も意識する必要がある。すでにフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁やダラス連銀のフィッシャー総裁の退任も伝えられている。ちなみに2015年の連銀で投票権を持つのはニューヨーク連銀と、クリーブランド、ボストン、セントルイス、カンザスシティの各連銀となる。
ただし、あまりこのメンバー構成については、ゼロ金利解除時の動向には大きな影響はないとみている。結果としては、イエレン議長とフィッシャー副議長の意向が強く反映されると思われる。
そして、注意すべきはゼロ金利解除が出口政策や正常化の仕上げとなるわけではないことである。FRBはテーパリングで毎月の資産買入れ額は落としてきたが、バランスシートは膨らんだままとなっている。こちらの削減が次の課題となる。
買入れができたのならば売ればよいというものではない。市場への影響も考えれば、米国債の売りオペはかなり難しいこととなる。しかし、償還がきたものを乗り換えるだけであれば、バランスシートを正常化させるには2020年近くまでかかるともイエレン議長は指摘している。こちらの正常化をどのような手段を使って、どのようなペースで行うのかが、ゼロ金利解除後の大きな課題となろう。