新年度入り後の国債市場の変化点
まもなく新年度入りするが、消費増税などを含めていろいろと変化も出てくることで、今回は国債に関しての変化についてまとめてみた。
すでに長期国債先物は3月24日に大阪取引所のシステムに統合された。これにより長期国債先物の取引にも変更があり、これまで誤発注予防のため呼値可能値幅が設定されていたが(例えば長期国債先物はザラ場中は20銭等)、これが即時約定可能値幅となり、上下10銭を飛んで動くような場合にはいったん板寄せのような格好となり、昔のスタイルに戻った。さらに成り行き注文は出せなかったが、引け成り行きの注文も可能となる。取引時間帯についてはイブニング・セッションが午前3時まで延長された。
さらに4月7日からは超長期国債先物の取引が再開される。超長期国債先物取引は2002年の12月限月以降は新たな限月取引を休止していた。再開される超長期国債先物については、標準物のクーポンは6%(長期も6%)、取引単位1億円(同1億円)、呼び値の刻みは100円につき5銭(同1銭)、即時約定可能値幅は30銭(同10銭)、受け渡し適格銘柄は残存18年以上21年未満の20年利付国債(同残存7年以上11年未満の10年利付国債)となっている。値幅制限に関しては9.0円(同3.0円)となっている。
国債発行についても4月から一部の年限の国債の発行額が変わる。2年国債は毎月2.9兆円の発行額が2.7兆円に減額される。5年国債は毎月2.7兆円、10年国債も毎月2.4兆円、20年国債も毎月1.2兆円とこれらは毎月の発行額に変更はない。30年債は5千億円が4回、6千億円が8回から、6千億円が4回、7千億円が8回に変更される。5月・8月・11月・2月に6千億円、その他の月に7千億円の発行を予定している。40年債は3千億円4回と前年度と同じ。
10年物価連動国債は今年度は3千億円で2回発行されたが、来年度は4千億円の4回発行が予定されている。流動性供給入札については、今年度の毎月6千億円の発行から来年度は毎月7千億円の発行となる。
この流動性供給入札については、これまで国債市場特別参加者の指定基準のなかでの応札義務が課せられていなかったが、4月1日以降は他の国債入札と同様に、発行予定額の3%以上の応札義務が課せられる。ただし、落札義務はこれまで同様に課せられない。流動性供給入札は国債市場の流動性の維持および向上等を目的として実施するものであり、財政上の理由から発行しなければならないものではない。この意味で落札義務までは必要はないとされたものと思われる。
10年国債の発行条件については、昨年7月以降、新発債の表面利率と入札日の市場実勢利回りの乖離が概ね15bpである場合にはリオープン発行とし、1月以降はこれを20bpに拡大してリオープン発行としてきたが、今年4月及び5月の10年債のリオープン方式については、現行の方式を継続するとしている。
4月以降で国債市場に関わる変化点をピックアップしてみたが、特に大きな変更点があるわけではなく、市場への影響もほとんどないものと思われる。ただし、日銀の大規模な国債買入が依然として日本の債券市場に影響を及ぼしていることに変わりはなく、国債の発行や先物を含めての市場の変化よりも、日銀の今後の動向のほうが影響力は大きいように思われる。