12月の債券市場における投資家の動き
1月21日に日本証券業協会は12月の公社債投資家別売買高を発表した。これによると短期国債を除くベースで、都銀は1兆1363億円の売り越しとなり3か月連続での売り越しとなった。
それに対し、地銀が3797億円の買い越し、信託銀行が1兆997億円、農林系金融機関も1兆2089億円、第二地銀が2138億円、信用金庫は5823億円のそれぞれ買い越しとなった。
生保も1兆1423億円の買い越しとなったが、海外投資家は2856億円の売り越しとなっていた。
国債の投資家別売買高でみると、都銀は超長期債を1510億円売り越し、長期債を2055億円売り越し、中期債を7102億円売り越していた。今回都銀は中期ゾーン中心に売りを入れてきたようである。
地銀は長期債を3356億円買い越し。信託銀行は超長期債を4556億円、中期債を8065億円買い越したが、長期債は4203億円の売り越しに。農林系金融機関は超長期を4185億円、長期債を6152億円それぞれ買い越していた。 信用金庫は長期債を4526億円買い越し。
生保は超長期債を1兆385億円の買い越し。そして外国人は超長期債を1214億円、中期債を3567億円買い越していたが、長期債を7667億円売り越していた。
債券先物は12月11日に145円30銭をつけて過去最高値を更新。その後、ユーロ危機の後退、アベノミクスへの期待などを背景として円安が進行したことから、日経平均も上昇基調に。16日の衆院総選挙において、自民・公明両党は、衆議院のすべての議席の三分の二を上回る議席を獲得。これを受け円安の流れが加速し、大型補正予算編成への思惑等から日経平均は19日に1万円台を回復した。大型補正予算による国債増発も意識され、債券は下落基調が続いた。月初に0.7%を割り込んでいた10年債利回りは27日に0.8%台に上昇し、債券先物も143円48銭まで下落した。このように12月はかなりの変動があったが、この間、都銀を中心に売りが入ったものの、ほかの金融機関はこつこつと押し目買いを入れていた模様。海外投資家も円安進行もあり、長期債主体に売りを入れていた。
11月の短期債の売買高をみると、外国人がこの月も9兆3875億円の買い越しとなっていたが、久しぶりに買越額は10兆円割れとなった。10兆円割れは2011年9月以来。ここにも多少ながら、円安の影響もあったとみられる。ただし、それにしては買い越しの減少幅は少なく感じた。