宮城県 東北自動車道の大規模事故は 新雪・風・地形の条件が揃って起きた

19日昼過ぎ 事故現場付近の様子 (撮影:ミヤギテレビアナウンサー 安斎摩紀)

きょう19日(火)正午頃、宮城県内の東北自動車道で車130台以上が関係する大規模な多重事故が発生しました。事故当時、現場付近では雪はほぼ降っておらず、事故の原因は通常の吹雪や凍結ではなく、積もった雪が舞い上げられる地吹雪だったと思われます。

19日昼過ぎ 事故現場周辺 晴れているのに地吹雪によって見通しの悪い様子が分かる (撮影:ミヤギテレビアナウンサー 安斎摩紀)
19日昼過ぎ 事故現場周辺 晴れているのに地吹雪によって見通しの悪い様子が分かる (撮影:ミヤギテレビアナウンサー 安斎摩紀)

ただここまでの規模の地吹雪はそう頻繁に発生するものではありません。今回は「積もったばかりの新雪」「日中強まった風」「暴風をもたらす地形」という条件が全て揃ってしまったことで大規模な地吹雪になってしまったものと思われます。

雪と風をもたらした低気圧

通常の冬型の気圧配置であれば、宮城県において雪が降るのは西部の山沿いが中心で、事故現場周辺のような平地は晴れることが多いです。

19日午前4時の雪雲の様子(提供:ウェザーマップ)
19日午前4時の雪雲の様子(提供:ウェザーマップ)

ただ昨夜~今朝にかけては東北付近を低気圧が通過、この低気圧の通過に伴い平地でも雪が降り、事故現場に近い古川では昨夜~今朝にかけて6cmの雪が新たに降り積もりました。

この雪の量そのものは古川としては極端に多いものではありません。ただ、とけ始めた雪や凍り付いた雪と違って、積もったばかりの新雪は非常に風に飛ばされやすく、事故現場周辺の大崎平野にはこの飛ばされやすい雪が一面広がっていたものと思われます。

19日11時の解析積雪深 大崎平野一面に雪が広がっていたものと思われる(提供:ウェザーマップ)
19日11時の解析積雪深 大崎平野一面に雪が広がっていたものと思われる(提供:ウェザーマップ)

またきょう日中は、その雪を降らせた低気圧が発達しながら東へ抜け、さらに西からは高気圧が進んできたことで北日本では冬型の気圧配置が強まりました。

19日正午の実況天気図(提供:ウェザーマップ)
19日正午の実況天気図(提供:ウェザーマップ)

高気圧と低気圧の間で西風が強く吹き、宮城県内では最大瞬間風速25m/s前後の暴風が吹き荒れました。そして特に風が強く吹いたのがやはり大崎平野です。

19日14時の平均風速と14時までの最大瞬間風速(提供:ウェザーマップ)
19日14時の平均風速と14時までの最大瞬間風速(提供:ウェザーマップ)

古川は最大瞬間風速27.8m/sと、1月としては過去1位の暴風を記録、きょうの宮城県内でも1番強い風になりました。古川で風が強く吹くのは地形が関係しています。

強風をもたらす奥羽山脈の“切れ目”

宮城県と山形県との県境には奥羽山脈がそびえていて、この山々によって西からの風は若干弱められます。

東北地方の地形地図 赤丸部分が“切れ目”(国土地理院提供のものに著者加工)
東北地方の地形地図 赤丸部分が“切れ目”(国土地理院提供のものに著者加工)

ところが大崎平野の風上部分だけ奥羽山脈が低くなっていて、いわば“切れ目”のような状態になっています。このため山形県の酒田から、宮城県の大崎平野を経て、沿岸の石巻に至るルートは西風の通り道=暴風が吹きやすい地形になっています。

今回は「風で飛ばされやすい新雪」「低気圧の発達によって強まった西風」「その西風が特に強く吹く奥羽山脈の切れ目」の全ての条件がピッタリ重なってしまったことで起きた地吹雪と言えるでしょう。

大崎平野周辺では過去にも同様の大規模な事故が発生していて、今後も条件が揃えば今回のような地吹雪が起こる可能性はあると言えます。

今後も車の運転などの際は、暴風・吹雪・地吹雪にご注意ください。