過去最安値を更新した原油への投資 先物、ETF、CFDの違いを比較する(動画解説付き)

(写真:ロイター/アフロ)

NY原油先物価格が一時マイナス価格を付けたニュースを受けて、個人投資家の間でも原油投資に対する関心が高まっている。現在は、マイナス価格状態は解消されているが、一時的にとは言え、1バレル=マイナス40.32ドルと、売り手が買い手に対して資金提供を行わなければ原油を購入してもらえない異常事態を受けて、過去最安値圏の原油を購入しておけば、大きな利益が出るのではないかとの見方が浮上しているためだ。

しかし、原油への投資は一般に思われている程に単純ではなく、必ずしも「原油価格の上昇=原油の投資の利益」とはならないため、投資に対しては慎重な判断が求められる。原油市場には一般投資家には分かりづらい難しさがあるためだ。

■原油先物の投資

原油への投資で最もスタンダードな手法は、原油先物取引である。将来の一定期日の原油を取引するものである。しかし、原油先物には受け渡しまでの時間に応じて「限月(げんげつ)」という概念があり、どの限月を購入するのかによって、投資結果は大きくことなることになる。

経済ニュースに出てくるのは中心限月と呼ばれる最も取引量が大きい限月の取引だが、4月24日時点だと6月限の1バレル=16.94ドルとなっている。一方、年末の12月限だと28.47ドルになっている。このため、年末までに原油価格が上昇すると考えるのであれば12月限以降の限月を購入する必要があるものの、こうした限月の価格は6月限よりも既に割高な状態にあるのだ。このため、30ドルまで原油価格が上がると考えて投資しても、確かに中心限月の原油価格は上がっても、実際に投資している限月の価格は大きく上昇していないことがある。

■原油ETFへの投資

次に、国内でも投資人気が高まっている原油ETF(上場投資信託)だが、これも単純ではない。原油ETFは原則として受け渡しまでの期間が最も短い期近物(きぢかもの)を購入し、期限が到達する前に次の限月(=期先物、きさきもの)に乗り換える取引を繰り返すことになる。

これを専門用語でロールオーバーというが、この際に「乗り換える前の限月」よりも「乗り換える後の限月」の価格が高い場合には、割安な限月を売って割高な限月を買うため、損失が発生してしまうことになる。現在は、期近物よりも期先物が高い「順鞘(じゅんさや)」と呼ばれる状況にあるため、原油先物価格は上昇しても原油ETF価格は上がらない、場合によっては逆に下がることもあり得る。

■原油CFDへの投資

FX投資家の間で原油に投資する際に人気があるのが、取引の仕組みが近い原油CFD(差金決済取引)だが、これも原油ETFと同じような問題を抱えている。原油CFDも原則として期近物に投資するため、期限が近づくと期先物にロールオーバーを行う。この際の価格の違いを「価格調整金」という形で損益計算するため、仮に順鞘の状態で割安な限月から割高な限月への乗り換えを行うと、その分が価格調整金として収支からマイナス計算されることになり、原油先物価格の上昇分が価格調整金のマイナス分によって相殺され、原油先物価格が上昇しても、原油CFD取引では十分な利益が出ない、場合によっては損失が出る可能性もある。

■原油投資の前に知っておくべきこと

原油ETFも原油CFDも、順鞘環境ではロールオーバーのコストが大きく、「原油価格の上昇=原油の投資の利益」とはならない。ロールオーバーが行われるまでの短い時間で決済する、もしくは期近物が期先物よりも高い逆鞘(ぎゃくさや)環境では、原油ETFと原油CFDも十分に魅力のある取引である。しかし、現在のような大幅な順鞘環境で長期的な原油価格の上昇を狙って投資するのは、実は利益を出すのが極めて難しい取引になってしまう。

一方、比較的分かり易いのが原油先物取引だが、元本以上の投資が行われるハイリスク・ハイリターンの投資(=元本以上の損失が出る可能性がある)であることに加えて、商品先物取引の専用口座開設が求められることになる。証券口座で取引される原油ETFと比較すると、取引するためのハードルがやや高くなっている。

過去最安値圏の原油に投資するためには、こうした原油投資の特殊性、各投資手法のメリット・デメリットを把握しておく必要がある。こうした基礎知識を身に着けた上で、原油投資の是非を検討すると楽しめよう。

(動画協力)ヒロコの投資ゼミナール