産油国は追加減産を合意できるか? OPECとロシアの協議が難航中

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

3月5日に石油輸出国機構(OPEC)総会、6日にロシアなどを加えたOPECプラス会合が開催される。新型コロナウイルスの感染被害拡大で世界経済の先行き不透明感が強まる中、国際原油需給バランスの乱れ、そして原油価格の急落に対してどのように対応するのかを協議する重要な会議になる。

現在、OPECプラスは当初日量120万バレルだった協調減産枠を170万バレルまで拡大して、原油需給と価格の安定化を目指している。この政策は一定の効果を上げており、昨年のNY原油先物価格は1バレル=50~65ドル水準をコアに安定を見せていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が大きなダメージを受ける中、OPECプラスとして追加の政策対応の必要性を巡る協議が行われることになる。

OPECプラスの政策は、共同専門委員会(JTC)で専門的知見から検証が行われており、2月4~6日の会合では日量60万バレルの追加減産が勧告されていた。OPECとしては、早急に臨時会合を開催して追加減産を正式決定したい所だったが、ロシアが追加減産には難色を示し、結論が先送りされていた。

ロシアのプーチン大統領は、ロシア政府の予算上、現在の原油価格は容認可能との強気スタンスを示している。中東産油国ほどには原油売却収入に依存した経済構造にはないため、原油価格が急落してもロシアとしては特別な対策は不要との主張である。ただ、2018年以降のロシアの産油政策はOPECとの協調を基本にしており、ロシアのノバク・エネルギー相はJTCの勧告した日量60万バレルの追加減産案を協議中と発言していた。OPEC内からは、JTC開催後の原油価格の急落を受けて100万バレル規模の追加減産が必要といった議論も浮上する中、最大でも60万バレルの追加減産案の協議に留めたいとの計算もあったのだろう。

3月4日には改めてJTCが開催されているが、そこでは日量60万~100万バレルの追加減産という、1カ月前の勧告よりも更に厳しい内容が提示された。新型コロナウイルスの感染被害が中国に留まらず世界各地に拡散する中、需要見通しの深刻な悪化に対応する必要があると判断された訳だ。本来であればこのJTCの新たな勧告案に各国が対応を表明すべき局面である。理想を言えば、5日のOPEC総会の時点でOPECプラスの追加減産案を機関決定し、翌6日のOPECプラス会合で同案を追認するのが、本来の手続きであるためだ。しかし、ロシアはJTCの新しい勧告が出た後に、サウジアラビアとのエネルギー相会談を3時間にわたって実施したにもかかわらず、態度表明を行っていない。

今回のOPECプラス会合では、新型コロナウイルス対策としてメディアの取材が制限されているために情報が乏しいが、OPECサイドは日量100万バレル超の追加減産を望んでいる模様だ。一方ロシアは、追加減産を行っても米国のシェールオイルにシェアを奪われるだけの結果になるのではないかと強く警戒しており、協調減産の期間延長に留めたいと考えている模様だ。OPECとロシアとの調整は難航している。

過去のOPECプラス会合でもOPECとロシアの意見対立はみられたが、最終的にはロシアがOPECに譲歩することで、協調減産体制を維持してきた。しかし、今回はロシアが従来以上に強硬な態度を示しており、仮に今会合でOPECとロシアが新たな政策調整で合意に達することができなかった場合には、原油価格が急落する可能性が高まるのみならず、「OPECプラス」という新たな産油国協調体制の枠組みそのものの存在意義が問われることになる。