OPECプラスは緊急会合開催か? 一変した産油国の危機感

(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルスの感染被害は、感染被害拡大に対する漠然とした不安心理から、実体経済減速に対する警戒感へと、ステージを切り上げつつある。これに応じて、産油国の動きも活発化し始めている。

NY原油先物相場は、中東情勢が緊迫化した1月8日の1バレル=65.70ドルをピークに、1月31日終値で51.60ドルまで急落している。当初は石油輸出国機構(OPEC)も、一時的なパニック状態に過ぎないとの楽観的な見方を示していた。例えば、1月27日にOPECのアルカブ議長は、「世界の石油需要への影響は小さいだろう」として、状況を注視するが対応は不要との認識を示していた。27日にはサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相も、「石油需要への影響は極めて限定的にも拘らず、主に心理的な要因や極端にネガティブな見通しの影響を受けている」として、過剰反応は不要との認識を示していた。

しかし、30日には世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言するのと前後して、中国経済、更には世界経済への影響が警戒される事態になる中、いよいよ対策に乗り出し始めている。OPECバスケットプライスが60ドルの節目を完全に割り込んだことも、産油国の危機感を高めている模様だ。

OPECやロシアなどのいわゆる「OPECプラス」は、協調減産によって石油需給・価格の安定化を目指しているが、本来であれば3月6日に4月以降の対応を協議する予定になっていた。しかし、ここにきて政策調整に慎重だったロシアも対応に前向きな姿勢を示しており、2月4~5日にオーストリアのウィーンで緊急会合を開催する方向で調整が進んでいる。まだ正式な発表は行われていないが、OPECプラスも現状を「有事」と考え始めていることが確認できる。

OPECは今年の世界石油需要について、昨年の日量9,977万バレルから1億0,098万バレルまで122万バレル(1.2%)増加すると予想している。この数値を前提に政策調整を行っているが、中国や世界経済が急減速すれば、需要が予想されていた程に伸びず、大幅な供給過剰状態に陥る可能性が高まることになる。

対策といっても、現時点では世界石油需要がどの程度の影響を受けるのかは、誰も精度の高い推計を行うことができない状態にある。ヒトとモノの移動が制限されれば、航空機のジェット燃料、船舶の重油などの需要が落ち込むのは必至であり、経済活動が停滞すれば原油需要そのものが大きく落ち込む可能性もある。一方で、通年ではそれ程大きな影響は生じないとの見方もあり、難しい対応を迫られることになる。

「3月末までとされている減産期間の延長」、「減産規模の拡大」のいずれか、もしくは両方が通常の選択肢になる。ただ、いずれにしても数日間で産油国も対応を一変せざるを得ない程に、新型コロナウイルスの脅威が急激に高まっていることは間違いなさそうだ。