金が高騰しているが、プラチナも買いなのか?

(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

米中貿易戦争は勃発してから既に1年半が経過しているが、未だに終戦の道筋が描けない状況が続いている。トランプ米大統領に世界経済が振り回される状況が続く中、金融市場は動揺を見せており、8月26日には為替が1ドル=105円を下回り、2016年11月以来の円高・ドル安水準を更新している。日経平均株価も昨年9月には2万4,000円台で取引されていたのが、今や2万円の節目割れさえも警戒される状況になっている。

こうした中、安全資産の代表格である金が投資人気を集めている。国内の指標価格となる東京商品取引所(TOOCM)の先物価格は、年初の1グラム=4,537円が8月27日時点では5,223円まで値上がりし、金先物取引が始まった1982年以来の上場来最高値を更新している。ここ数年は4,000円~5,000円のレンジを推移する膠着状態にあったが、5,000円の大台に乗せたことは、世界経済の緊張感がいよいよ日本経済にも本格的なダメージを与え始めていることを示している

通常、円高局面では輸入価格が下落するため、円建て金価格は下落し易い状況にある。しかし、こうした円高の負のエネルギーを相殺する買い圧力が発生していることは、投資家が安全性を最優先する動きを強化していることを強く印象付けさせる。

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■プラチナが安いのには理由がある

こうして金価格が急騰すると、高額で割高感が強くなった金を購入することを躊躇する向きも増え、必然的に他の貴金属に対しても関心が集まることになる。特にプラチナ(白金)は日本で人気のある貴金属であり、「金ではなくプラチナを購入する」という選択肢も浮上することになる。

一般的に貴金属価格の間には明確な序列が存在しており、歴史的にみてプラチナ価格は金価格よりも割高なことが普通の状態だった。金よりも産出量が少なく、歴史が浅いことで市場に出回っている地金や宝飾品などの量が少ないこともあり、「プラチナ>金」が一種の常識になっている。

しかし現在は、TOCOM先物価格でプラチナは1グラム=3,000円台を割り込んだ状態にあり、5,000円を超えた金価格よりも大幅に割安な状態にある。仮に1キログラムの地金を購入しようとすると、8月27日時点の小売価格では金の563.7万円に対してプラチナは326.3万円であり、相対的に少額で購入できるプラチナに魅力を感じる向きも少なくない。

実際に一部の海外大手金融機関からは、大きく値上がりした金よりも、割安な状態に放置されているプラチナ投資を推奨するような動きも報告されている。投資家の目線が金からプラチナにシフトすれば、金価格よりもプラチナ価格は大きく上昇し、場合によっては再びプラチナ価格が金価格を上回る可能性もあるとのロジックだ。

確かにそのような可能性は否定できず、例えば今年1~3月期には主に南アフリカの投資家がプラチナ上場投資信託(ETF)を大量購入し、プラチナ価格は一時3,200円台まで上昇している。

一方で、プラチナ価格が金価格を下回る「異常な状態」にあるのは、それだけプラチナに魅力を感じていない向きが多いことも意味している。プラチナは主に自動車の排ガス触媒や工業用プラントなどで使用されるが、世界の新車販売市場が急減速し、工業用プラント建設の動きも鈍化する中、プラチナ価格の低迷は当然とも言える。各種機関の予想でも、今年のプラチナ需給は供給超過を予想しているのが殆どであり、残酷な言い方をすると「安いものには理由がある」のだ。

伝統的に金価格とプラチナ価格との間には一定の相関関係が認められるが、プラチナが金よりも割安だからといった安易な考えで投資対象にするのはリスクが高い。純粋な需給の視点では、プラチナは安値低迷状態でも当然と評価されている貴金属である。

プラチナ投資を行う際には、需給は緩和しているが、金価格との関係性の一点でもしかしたら投資家の物色買いの一部がプラチナ市場にも波及し、金価格と同様にプラチナ価格も上昇するかもしれない程度の見方に留めておきたい。