有事のビットコイン買いは回避も、分裂バブルは続く

(提供:アフロ)

仮想通貨ビットコインの急伸が続いている。11月26日の取引で1ビットコイン(BTC)=100万円の大台に乗せたが(参考:仮想通貨ビットコインが100万円突破)、本日の取引では一時119万円台を付ける展開になっている。僅か3日で20%近い上昇率が実現した格好である。ドル建てでも1BTC=1万ドルの大台が達成されており、「ビットコイン価格の高騰」というニュースそのものが新たな投機マネー流入を呼び込む好循環になっている。

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■「有事のビットコイン買い」は見送り?

ビットコイン価格がどのようなロジックで動くのかは難しい問題であり、例えば今年8~9月にかけては朝鮮半島有事に対する警戒感が法定通貨に対する代替通貨としてのビットコイン市場に投機マネーの流入を促した経験がある。朝鮮半島有事によって中央銀行の発行、管理するドルや円などの法定通貨の取引に障害が発生するリスクが警戒され、無国籍かつバーチャルな仮想通貨ビットコインに資金が流入したとされている。こうしたいわゆる「有事の仮想通貨買い」は、昨年のブレグジット(イギリスのEU離脱)、更には2015年のギリシャ危機、2012~13年のキプロス危機などの際にも確認されている。

一方、北朝鮮が11月29日未明に行ったミサイル発射実験は特に材料視されておらず、マーケットの関心がいわゆる「有事の仮想通貨買い」から外れ始めている可能性が窺える。今回は、金や円など他の安全資産の反応も鈍かったので、仮に改めて朝鮮半島有事のリスクが金融市場で高まれば、遅れて「有事の仮想通貨買い」が発生する可能性もある。ただ、11月29日のビットコイン価格の急騰は日本時間で29日午後に入ってから突然に開始され、しかも、急伸後に急反落する荒れた相場展開になっている。もはや投機主導の高騰相場になっていることが強く印象付けられる。

■「分裂バブル」には違和感

世界最大のデリバティブ取引所CMEによるビットコイン先物の上場計画で機関投資家の資金流入が期待されていることはともかく、ビットコインの分裂観測を背景にビットコイン価格が急騰するのは健全とは言えない。今年に入ってからビットコインからはビットコインキャッシュ、ビットコインゴールド、ビットコインダイヤモンドと次々に分裂が発生しているが、本来であれば分裂して値下がりすべきビットコイン価格が下がらないのみならず上昇しているのは異常である。例えるならば、株式分割で1株=100万円の株が2株に分割されても、本来の50万円(=100万円÷2株)ではなく分割前の100万円以上の価格を付けているのと同じ状況である。

このため、「分裂バブル」との批判の声も高まっているが、ビットコイン市場で「分裂=ビットコイン価格上昇」という誤った判断が一般化している以上、どこまで価格が上がるのか分からない状況が続くことになる。現状で価格を左右しているのは需給だが、決済や送金といった実需と関係のない投機需要が「分裂バブル」を期待している以上、「分裂バブル破裂」のためには分裂によるビットコイン価格上昇の期待感を損なう大きなイベントが要求されることになる。それが価格高騰による決済、送金コストの高騰に伴う実需市場の損壊になるのか、CMEのビットコイン先物上場による値崩れを狙った投機売りになるのか、更には「分裂=ビットコイン価格上昇」ロジックの否定になるのかは不透明だが、少なくとも「分裂バブル」については健全な状態とは言い難い。