原油価格が半年ぶりの高値更新

(写真:ロイター/アフロ)

NY原油先物価格は、週明け5月16日の取引で1バレル当たり前日比1.51ドル高の47.85ドルと急伸し、昨年11月4日以来となる約6ヶ月ぶりの高値を更新した。今年2月11日の26.05ドルを底値に、その後の3ヶ月で最大21.80ドル(83.7%)もの急伸相場が形成されている。

原油価格は、米国のシェールオイル生産が急増したことや、石油輸出国機構(OPEC)の供給管理放棄、更には中国経済の減速に伴う需要環境悪化などを受けて、2014年後半から急落していた。14年前半までは100ドル前後の高値水準が維持されていたが、過剰供給状態を解消する目途が立たない状態に陥る中、原油安誘導で主に高コストのシェールオイルに対して減産対応を迫ることを狙った動きである。

実際に米国では、採算割れからシェールオイルの生産活動が縮小しており、例えば石油リグ稼働数だと14年10月10日時点の1,609基に対して、直近の5月13日時点では318基まで、実に8割を超える減少になっている。米産油量も昨年中盤には日量960万バレルを超えていたのが、直近では880万バレル前後までの減産対応を迫られている。

こうして需給均衡状態が実現する目途が立ち始めていたことが、3~4月にかけて原油相場が反発傾向を強めていた背景だった。それでも、過剰供給解消の流れを確実なものにするためには、シェールオイルに対して断続的に減産を迫ることが要求され、一方的な値上り展開までもが容認される訳ではなかった。過去最高水準にまで膨れ上がった在庫環境にも変化はなく、マーケットでは実際に需給均衡状態が実現するのかを疑問視する向きも多かった。

■カナダ、ナイジェリア、リビアで供給障害

しかし、この流れが変わってきたのが5月の国際原油供給環境である。5月1日にはカナダのアルバータ州で大規模な森林火災が発生し、オイルサンド生産にたずさわる住民が避難を余儀なくされたことで、カナダ産原油に対して強力な減産圧力が発生した。

また、5月4日にはナイジェリアの原油生産施設が武装勢力の攻撃を受け、石油会社の操業に提供が生じている。武装勢力は、外資系石油会社に対してニジェール・デルタ地域からの撤退を要求しており、2004~09年前後にかけての国際原油供給環境をかく乱した、ニジェール・デルタ解放運動の再来さえも警戒される状況にある。これ以外にも、リビアでは東西政治勢力の対立から原油輸出の船積みが行えない状況になっている。

この結果、カナダでは最大で日量100万バレル規模、ナイジェリアでも50万バレル前後の供給障害が発生しており、「価格低下でシェールオイルに減産対応を促す」必要性が薄れていることが、ここ1週間ほどの原油価格を強く刺激している。これまでは、年後半に漸く需給均衡状態が実現するか否かとの瀬戸際にあったのが、今や供給不足化は確実との見方に変わり始めているのである。

この種の供給トラブルはいつまで続くのか予測が難しいが、特にナイジェリアの供給障害は一時的なものに留まらない可能性も想定しておく必要があり、国際原油需給と価格見通しは大きな修正を迫られている。

米金融大手ゴールドマン・サックス・グループも、従来の過剰供給見通しが突然に解消されたとして、今年下期の原油価格見通しを従来の45ドルから50ドルまで引き上げている。

画像
画像