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NY原油23日:米原油在庫減少で、期近主導で急伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油2月限 前日比1.36ドル高

始値 36.47ドル

高値 37.79ドル

安値 36.28ドル

終値 37.50ドル

米原油在庫の大幅な取り崩しを受けて、急伸した。

アジアタイムは36ドル台中盤で揉み合う展開になったが、欧州タイム入り後にドル安連動で地合を引き締め、その後は米原油在庫の取り崩しをきっかけに一気に37ドル台後半を試す展開になった。クリスマス休暇前の売りポジション整理の影響も見受けられるが、米エネルギー情報局(EIA)の週間需給統計発表後に大きな買いが膨らんでいる。

EIAによると、12月18日時点の米原油在庫は前週の4億9,070万バレルから4億8,480万バレルまで、590万バレルもの急増になった。米国内の産油量や輸入量に大きな変動はみられなかったが、製油所向け原油需要の拡大が続く中、在庫の取り崩しが促されている。事前のマーケットでは120万バレル程度の在庫取り崩しを予測していた向きが多かっただけに、ポジティブサプライズと評価されている。

その前の週に480万バレルの急増となっていたことを考慮すれば、在庫トレンドが激変しているとまでは言えないが、季節要因の影響もあって在庫積み増し傾向にブレーキが掛かり始めているのは事実であり、クリスマス休暇前に売りポジションの整理を進めるきっかけにはなった模様だ。

原油相場の基調が下向きとの判断に修正を迫る必要性は乏しいが、年内のポジションをクローズする動きから、短期トレンドは不安定化し易い。もっとも、過剰供給是正を促すには、いずれにしても原油安が必要との見方が強く、35ドル割れ定着を打診するステージが続く見通し。季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かり易いことに注意が必要だが、自立反発的な動きに留まろう。クリスマス休暇前にショートカバー(買い戻し)主導で上昇するような局面があれば、売り場になる見通し。少なくとも、原油相場が本格的に上昇するシナリオを描くことは難しく、ドル安リスクを警戒すべき程度である。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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