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NY原油15日:続伸、米国内在庫の取り崩しを警戒

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比1.04ドル高

始値 36.32ドル

高値 37.88ドル

安値 36.03ドル

終値 37.35ドル

米週間需給統計の発表を控えてショートカバー(買い戻し)が膨らみ、続伸した。

アジアタイムは36ドル台前半での小動きに終始したが、欧米タイムはドル高に逆行する形で地合を引き締め、37ドル台前半までコアレンジを切り上げている。何か大きなポジティブ材料が浮上してきた訳ではないが、16日に米エネルギー情報局(EIA)から週間需給統計の発表が行われるのを前に、売り玉整理の動きが優勢になった。引き続き、35ドルの節目割れで短期的な目標達成感が広がったチャート要因の影響も大きい模様だ。

米原油在庫は前週に350万バレルの取り崩しが確認されているが、今週は更に50万バレルの減少と、2週連続で在庫が削減されることが予測されている。暖冬の影響で末端需要に不透明感が強いが、少なくとも当面は高レベルの製油所稼働率が原油在庫の取り崩しを促し易くなる。在庫の絶対水準を考慮すればひっ迫感が浮上するような状況にはないものの、短期的な売られ過ぎ感が強いこともあり、本日は安値是正の動きが優勢になった。

石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長は、価格低下の影響で2016年はOPEC非加盟国の間で日量40万バレルの減産が行われるとの見通しを示した。一方、原油価格は数か月から1年ほどで変わるため、OPECとしては緊急総会の開催は考えていないと発言するなど、特に現段階では介入の必要性を認識していないことが再確認されている。OPEC主導で原油需給バランスを引き締めるような動きは、引き続き想定する必要性が乏しい。

OPECサイドから原油安是正に向けた取組などは確認できず、原油安に政策的な対応を望めない以上、更に原油安を進めて協調減産を促すか、高コストのタイトオイルに減産を迫ることが要求される。国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。足元では35ドルの節目割れを達成したこと、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かり始めていることなどが下値をサポートしているが、自立反発的な動きに留まろう。ドル安圧力も一服しており、なお下値不安の大きい相場環境を想定しておきたい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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