NY金3日:反発、ECB理事会後のドル安を好感
COMEX金2月限 前日比7.40ドル高
始値 1,053.50ドル
高値 1,063.60ドル
安値 1,045.40ドル
終値 1,061.20ドル
欧州中央銀行(ECB)理事会後に為替相場がドル安方向に振れたことを受けて、反発した。
アジア・欧州タイムは戻り売り優勢の展開になり、1,050ドルの節目を挟んでの展開になった。ただ、ECB理事会後はユーロに買戻しが膨らんだことを受けて、ドルは対ユーロで反落し、つれて金相場も引けにかけて1,060ドル台まで上昇する展開になっている。
ECBは中銀預金金利の引き下げと、資産買い入れプログラムの6か月延長を決定した。景気減速とインフレ低迷リスクが高まる中、追加緩和に踏み切った形になっている。これによって、少なくとも資産購入総額は3,600億ユーロ増えることになり、米連邦準備制度理事会(FRB)との金融政策スタンスの違いはより明らかになっている。ただ、マーケットでは月額購入資産の増額といったより大規模な緩和策を予測していた向きが多かったことで、ECB理事会後に更にユーロ安(ドル高)を押し進めることに失敗している。ドラギ総裁は、「資産買い入れプログラムは柔軟でいつでも調整可能」と更に政策調整を行う余地を誇示しており、今後の政策対応カードを残すことを重視したことが窺える。
このため、ECB理事会後はユーロ高・ドル安に振れたが、持続力があるものかは疑問視している。本日はイエレンFRB議長の議会証言も行われているが、「向こう1~2年の米経済成長は、労働市場を一段と改善させるに十分なものになると現時点で判断している」として、12月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ着手に踏み切る可能性を強く示唆している。前日の講演とほぼ同じ内容とあってマーケットの反応は限定されたが、追加緩和に踏み切ったECBとの政策スタンスの違いは明らかである。これまでの急激なドル高・ユーロ安の反動がドル建て金相場をサポートすることになるが、戻り売り基調が修正を迫られることはないと考えている。12月4日に発表される11月米雇用統計の結果次第では、大きな調整を経ずにダウントレンドが再開される可能性も想定しておく必要がある。