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NY金27日:大幅続落、ドル高で年初来安値を更新

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比13.80ドル安

始値 1,070.70ドル

高値 1,074.20ドル

安値 1,051.10ドル

終値 1,056.20ドル

為替相場がドル高方向に振れたことが嫌気され、大幅続落となった。年初来安値を更新している。

アジアタイムから売り圧力が強く、1,060ドル台後半まで値位置を切り下げた。欧州タイムには年初来安値1,062.00ドルを前に下げ一服となったが、ニューヨークタイムに入ると同水準を完全に下抜いたことでストップロスを巻き込む急落地合になり、一気に1,051.10ドルまで下値を切り下げた。その後は1,050ドルの節目を維持したことや週末を控えての買い戻しで下げ渋ったが、本日の安値圏で引けている。

特に目新しい材料が浮上してきている訳ではないが、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和拡大の思惑から対ユーロを中心にドル買い圧力が強くなっており、ドルインデックスも100ポイントの大台を回復している。ドルインデックスは年初来高値を更新するには至っていないが、ドル高圧力の強さが継続していることが、素直にドル建て金相場の上値を圧迫している。

10月の香港から中国向けの金純輸出量は9月の96.6トンから87.8トンまで減少した。依然として高水準を維持しているが、特に現物市場主導で安値是正を進めるような動きは確認できない。インドの需要が不振なことに加えて、金上場投資信託(ETF)の換金売り圧力が強く、投機売り圧力を吸収できるレベルには到達していない。

年初来安値を更新する中、次は1,050ドルの節目、そして1,000ドル割れが打診されることになる。なおドル高圧力が強く、金相場のダウントレンドは支持されている。目先は、12月3日のECB理事会後にドル高(ユーロ安)是正の動きが見られるのかが注目される程度である。既にECBの緩和強化は高レベルで織り込んでいるため、理事会の内容によってはユーロ買い戻しが膨らむリスクはある。ただ、それで欧米の金融政策環境の違いが解消される訳ではないことを考慮すると、一時的な戻り圧力の有無との視点に留まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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