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NY原油22日:ポジション調整の買い戻しが膨らみ、小反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比0.18ドル高

始値 45.27ドル

高値 46.10ドル

安値 44.90ドル

終値 45.38ドル

特に目立った材料が見当たらない中、短期的な下げ過ぎ感からショートカバー(買い戻し)が先行し、小反発した。

アジアタイムは45.50ドル水準での小動きに終始したが、欧州タイム入り後に安値是正の動きが強まり、一時46ドル台を回復する動きを見せた。積極的に買われたというよりも、前日に45ドルの節目水準に到達したことで、短期的な下げ過ぎ感が意識された模様。ただ、その後は欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が追加緩和の可能性を示唆したことでドルが急伸したことが嫌気され、上げ幅を削っている。再びマイナスサイドに沈んで45ドルも割り込んだ。もっとも、そこから本格的な下値切り下げに発展させていくことには失敗しており、前日比で小幅高で引けている。

プラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な相場展開になっており、本日は決め手を欠いた。期先限月を中心にややショートカバーが優勢になったものの、単純なポジション調整とみて良いだろう。製品相場の上昇がやや目立つも、需給見通しに修正を迫るようなイベントが発生した訳ではない。前日の石油輸出国機構(OPEC)技術会合が終わった後の目立った動きもなく、決め手に乏しい。

引き続き過剰供給懸念が強く、特に米原油在庫の増加傾向にブレーキが掛かるまでは、原油相場の下振れリスクは大きいと見ている。再び40ドル台割れを打診する流れは維持されよう。為替もドル高傾向に回帰しつつあり、米雇用統計後の過剰流動性期待を織り込む動きにも一服感が浮上している。年間安値を更新する可能性も残されている。ただ、現行価格では一定の生産調整圧力が確認される中、40ドル割れからの深追いは避けるべきだろう。瞬間的には大きく下押しされる可能性も残されているが、これ以上の安値は持続可能性が乏しい。35~60ドル水準をコアとした安値ボックスを想定しており、突っ込んだ局面では逆に買い拾っても問題はない。短期スパンで戻り売り対応を継続し、突っ込んだ局面で押し目買い優勢の地合に転換する見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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