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NY原油8日:生産調整、需要拡大への期待感から反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比1.62ドル高

始値 48.11ドル

高値 50.07ドル

安値 47.76ドル

終値 49.43ドル

引き続き需給リバランスの進展期待が強く、反発した。一時は50ドルの大台を回復している。

シェールオイルの減産傾向が維持されていることが、過剰供給の解消につながるとの期待感が根強い。特に目新しい動きは見られなかったが、価格低下で産油国や石油会社が生産調整の動きを見せていることが、素直に好感されている。加えて、本日は石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長が2015年の世界石油需要が前年比で日量+150万バレルの急増になるとの見方を示したことも、需給リバランスの進展期待を高めている。50ドル台回復は7月22日以来のことになる。

価格低下が供給環境に大きなダメージを与えているのは間違いなく、原油価格の下値不安は後退している。このままシェールオイルの生産環境悪化が進めば、少なくとも大きく値位置を切り下げる必要性は乏しくなる。ただ、価格が上昇すればシェールオイルの生産環境が回復するのは必至であり、これを本格的な上昇トレンドに発展させていくことが可能なのかは、なお疑問視される。

石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟国は、10月21日に技術的な会合を行うことを明らかにした。ここで原油市場の安定化について何らかの動きが見られるリスクが警戒されたことも、短期筋のショートカバー(買い戻し)を加速させた模様。

引き続き米産油環境に対する注目度が高く、40ドル台でもシェールオイルに対する生産調整の動きが強まることが確認される中、下値を大きく切り下げる必要性は薄れている。ただ、需給リバランスはまだ初期段階であり、50ドル台回復から一段高となればシェールオイルの増産圧力が再開されるのは必至であることを考慮すれば、反発余地は大きくないだろう。短期トレンドは上向きになっているが、価格上昇の手掛かりとなっている米産油環境の悪化は、あくまでも原油価格の急落に刺激を受けた動きであることを再確認したい。レンジブレイクがあれば瞬間的に大きく動く可能性が高いが、その際は戻り売りが検討対象になる。なお、原油相場が大きな上昇トレンドを形成する必要性は見出せない。

マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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