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NY金25日:反落、イエレンFRB議長の年内利上げ見通しを嫌気

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比8.20ドル安

始値 1,151.00ドル

高値 1,151.10ドル

安値 1,140.10ドル

終値 1,145.60ドル

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内利上げ見通しを再確認したことが嫌気され、反落した。

前日はフォルクスワーゲンの不正問題を受けての株安を手掛かりに急伸地合を形成したが、引け後にイエレンFRB議長が講演で「私自身も含めて米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の大半が、条件が達成されれば年内にFF金利の最初の引き上げが行われる」と予想していると発言したことが材料視されている。16~17日に開催されたFOMC後の記者会見における発言と大差はないが、なお年内利上げが米当局者のメインシナリオとして想定されていることが再確認されたことが、金相場に対する売り圧力に直結している。「経済環境が予期せぬ展開」をみせた場合には政策判断が修正される可能性についても言及されているが、基本的には約10年ぶりとなる利上げが接近していることは間違いなく、金相場の上値の重さが再確認されている。

もっとも、世界的に株式相場が不安定な値動きを見せる中、大きく値崩れを起こすまでには至っていない。フォルクスワーゲン問題の展開状況を見極めたいとのニーズも根強く、アジア・欧州タイムに売り込まれた後は、1,140ドル台中盤を中心に揉み合う展開に留まっている。

引き続き世界的な株安再開の動きが警戒され、当然に株価急落があれば安全資産の観点から金相場は買い支えられる可能性は残されている。ただ、米金融政策の正常化プロセスに大きな変化が生じていない一方、ドル相場が総じて底固く推移する中、ドル建て金相場の戻り売り基調は崩れない見通し。8月の中国発の株安で上昇した局面が売り場になったように、フォルクスワーゲン問題を受けての上昇局面でも、戻り売り対応が基本になろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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