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NY原油22日:米原油在庫が予想外の増加で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比1.67ドル安

始値 50.71ドル

高値 50.71ドル

安値 49.06ドル

終値 49.19ドル

米原油在庫が予想外の増加となったことが嫌気され、急反落した。

アジアタイムから戻り売り圧力が強かったが、50ドルの節目を下抜くには至らず、50.00~50.50ドル水準で上値が重いながらも下げ渋る中途半端な相場展開になった。しかし、ニューヨークタイム入り後は米原油在庫の増加を手掛かりに50ドルの節目を割り込み、49ドル台前半まで値位置を切り下げている。為替相場がドル高気味に推移したこともネガティブ。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(7月17日時点)は、前週比+246.8万バレルの4億6,388.5万バレルとなった。マーケットでは200万バレル程度の減少を予想していた向きが多かったが、輸入が想定されていたよりも高水準だったことで、在庫の積み増しが促されている。米製油所向け需要は上振れしているが、米国内の産油量が高水準を維持したこともあり、堅調な需要を吸収することに成功している。これを受けて、米国内需給要因を手掛かりに買い進むことは難しくなり、素直に戻り売り優勢の展開になった。

ガソリン在庫は減少しているが、本日はガソリン相場が軟調だったことも、原油相場に対する売り安心感に直結した。ガソリンは末端需要が堅調で、高水準の生産を継続しているものの、在庫に余剰感は乏しい。逆に一部ではタイト感の報告も聞かれ、ドライブシーズン終了に向けてガソリン供給に対する懸念を払拭できるかが、原油価格動向にとっても大きな意味を持つことになる。

引き続きドル相場の動向に注意が必要であり、その意味では米基調の低調な決算を背景に米金利上昇が阻害されていることは、原油価格に対してポジティブ。ただ、需給に関しては弱気評価が定着しているマーケットであり、断続的なドル安などの支援が見られない限り、50ドル割れ定着からの一段安を試す展開を想定している。ドル高傾向が維持できれば、40ドル台前半を試す可能性も十分にあろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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