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NY金16日:イエレン証言後のドル高継続で続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比3.50ドル安

始値 1,146.20ドル

高値 1,148.20ドル

安値 1,140.60ドル

終値 1,143.90ドル

前日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けてのドル高傾向が維持されたことが嫌気され、続落した。

アジアタイムから戻り売り圧力が強く、1,150ドルの節目を抵抗線に下値切り下げを打診する展開になった。イエレン議長は利上げを先送りするリスクに言及した上で、年内に利上げ着手が行われる可能性が高いことを再確認している。その後の利上げペースは緩やかなものになることも確認しているが、マーケットでは約10年ぶりにFRBの利上げが開始されることに対する警戒感が強く、金からドルに対する資金シフトの動きが加速している。

米長期金利はそれ程大きな動きを見せていないが、ドルインデックスは5月27日以来の高値を更新しており、ギリシャ危機が一服する中でも、ドルに対する信認回復が急ピッチに進んでいることが窺える状況にある。イエレン証言については今後も緩和的な金融政策スタンスが確認されたと、金価格に対してポジティブ材料と評価する余地もあった。実際に過去には、初回利上げ後の追加利上げが抑制的なものになるとの当局者発言を受けて、金価格が上昇するような場面もみられた。しかし、もはや金相場の強気派は先高感を維持できない状況に陥っている模様であり、本日は年初来安値を更新する展開になっている。

引き続き指標や要人発言などを確認しながらの相場展開になるが、今回のダウントレンドのクライマックになっている昨年11月7日の1,130.40ドルが打診される流れになる。同水準を下抜けすれば、改めてトレンドフォローの売り圧力も強まり易く、鉱山会社の生産調整を促す形で1,000~1,100ドルラインで需給リバランスの進展状況を見極めるステージに移行することになる。

ただ、上海現物市場の売買高が通常時の1.5~2.0倍に膨れ上がるなど、短期現物需要に拡大傾向が強くなっていることには注意が必要。アジア時間に現物市場で安値是正の動きが見られるようであれば、短期リバウンドリスクに備える必要性も浮上する。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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