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NY金13日:ギリシャ合意で続落も、値動きは小さい

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比2.50ドル安

始値 1,162.30ドル

高値 1,163.90ドル

安値 1,149.80ドル

終値 1,155.40ドル

ギリシャ債務問題に進展が見られたことが嫌気され、売り優勢の展開になった。

週末のユーロ圏首脳会合でもギリシャ支援の最終合意に至らない中、アジアタイムは1,160ドル台前半を中心に揉み合う展開になった。今後3日以内にギリシャ議会が新たな緊縮財政策に合意を示したことを条件に支援に踏み切るとしたことで、やや売り優勢の展開になったものの、大きな値動きはみらなかった。しかし、欧州タイムに入るとユーロ圏とギリシャが支援継続で合意したとの発表が行われ、金相場は短時間で10ドル幅の急落になった。なお支援国側の各国議会の同意を得られるのかなど不透明感もあるが、少なくとも当面のギリシャのユーロ圏離脱は回避できることになり、ギリシャ発でマーケットがパニック化するリスクが後退していることが、金価格に対する逆風になっている。

特に、為替相場がユーロ高(ドル安)ではなくドル高に振れたインパクトは強く、一時1,150ドルの節目も割り込んでいる。ギリシャ情勢が安定化すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが対外要因から阻害されるリスクも後退することになり、改めて米金融政策の正常化プロセスを織り込む動きが優勢になっている。

もっとも、1,150ドル割れから更に大きく売り込むような動きまではみられず、引けにかけては下げ幅を削っている。

ギリシャ発でグローバルマーケットが大きな混乱状況に陥るリスクが解消される中、少なくとも金相場の反発力は限定される見通し。なお、最終合意までは幾つかのハードルが残されているが、中国株の急落にも歯止めが掛かっていることもあり、金市場に再びリスクマネーが流入する必要性は乏しい。

今後はどの程度のペースでFRBの利上げ着手の流れを織り込めるのかが問われることになり、戻り売り優勢の地合は維持されよう。特に、下押し圧力が強くなっていた米金利の上昇、更にドル高の動きがみられれば、年初来安値(1,141.60ドル)割れから一段安を模索する展開が想定できる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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