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NY金7日:ギリシャの混乱続くも、ドル高で急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金8月限 前日比比20.60ドル安

始値 1,168.80ドル

高値 1,170.00ドル

安値 1,146.80ドル

終値 1,152.60ドル

為替がドル高気味に推移したことが嫌気され、急反落した。

ギリシャ国民投票で緊縮財政策が否決されたことを受けて、欧州連合(EU)首脳・当局者は対応の協議を活発化させている。ただ、ギリシャ政府からの新提案が行われない中、ギリシャ支援の是非や条件を巡る協議は行えない状況にあり、目立った進展は確認できない。ギリシャ政府は、8日中にも欧州安定メカニズム(ESM)からの支援を要請する書簡を送付する計画とされており、そこで債権団側を納得させることができる有効な提案を行うことができるのかが注目される。

こうしたした状況を受けて金融市場では欧州株の下落が続くなど、不安定な値動きが確認されている。しかし、金相場は「安全資産」の観点から買われることもなく、アジアタイムからじり安の展開に。ニューヨークタイム入り後は1,165ドル水準でストップロスの売りも巻き込み、一時は1,150ドルの節目も割り込んでいる。その後はドル高一服で下げ幅を縮小するも、早くも1,150ドルが支持線として機能するのかを打診するステージになっている。

もちろん、ギリシャのユーロ圏離脱といった動きに発展していけば、瞬間的に金相場が買われる可能性は残されている。しかし、リスクオフイベントも米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手を阻害するようなレベルに発展しない限り、金相場の戻り売り基調には変化を生じないとみている。有事に金は売られるのが過去のパターンであり、逆にギリシャ支援での合意形成が進むような動きが見られると、一気に1,100ドル割れを打診する可能性も十分にある。短期的には、ギリシャ危機よりも、それを受けてのユーロ安(ドル高)が注目を集めており、ギリシャ情勢の進展の有無にかかわらず、金相場を取り巻く環境は厳しさを増す見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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