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NY原油1日:米原油在庫が9週間ぶりの増加で、急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油8月限 前日比2.51ドル安

始値 58.98ドル

高値 58.98ドル

安値 56.78ドル

終値 56.96ドル

米原油在庫の増加が嫌気され、期近限月主導で急反落した。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(6月26日時点)は、前週比+239万バレルの4億6,538万バレルとなった。製油所向け原油需要は底固く推移しているものの、9週間ぶりの在庫増加となる。季節トレンドを考慮すると一時的な増加の可能性も否定できないが、現在の原油市場における数少ないポジティブ材料が「米国内の原油在庫減少傾向」だったこともあり、本日は素直に急落地合を形成している。米原油生産が再び増加傾向を見せていることもネガティブ。

ガソリン在庫は前週比-176万バレルの2億1,674万バレルとなり、なお製品需給には若干のタイト感も見受けられる。ただ、本日はガソリン相場も原油相場につられる形で急落しており、製品相場主導で上値を試すような動きは見られなかった。

イランの核開発協議は6月末までの最終合意に失敗したが、7月7日まで交渉期限を延長することが決定された。なお最終合意に至るのかは不確実性も強いが、イランと欧米との双方から交渉に前向きな発言が確認されており、イラン核交渉の進展に対する警戒感も引き続き上値圧迫要因になっている。

なお60ドルの節目を挟んでのボックス圏内の値動きだが、ドル高傾向が強くなっていること、国際需給の緩和状態が周知され始めていることを考慮すれば、戻り売り優勢の地合が維持されよう。5月28日の直近安値56.51ドルを下抜けできれば、比較的短時間で50ドルの節目を打診する可能性もある。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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