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NY原油15日:続落、需給緩和は解消されないとの見方

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.44ドル安

始値 59.90ドル

高値 59.98ドル

安値 58.73ドル

終値 59.52ドル

需給面に特に目立った動きは見られなかったが、引き続き過剰供給環境の長期化観測から戻り売り優勢の展開となり、続落した。

石油輸出国機構(OPEC)の大規模増産が続く中、目先は需給バランス均衡化を達成するのは困難との見方が、原油相場の上値を圧迫している。国際エネルギー機関(IEA)は6月月報において世界石油需要見通しを大きく引き上げており、シェールオイル生産に関しては明確な減産兆候が確認されている。しかし、OPECの大規模増産はこうした需給均衡化に迎えての働きかけを全て無意味なものにしてしまう程に強力であり、国際原油需給はなお原油高を支持していないとの見方が、原油相場の上値を圧迫している。

ここ最近は米原油在庫の減少傾向を背景に買い進むような動きも目立っているが、改めて国際需給の緩和見通しを背景にダウントレンドを確立できるのかが試される。ドル相場が方向性を欠く中で急落する必要性までは乏しいが、60ドルの節目水準での膠着相場から下放れできるのか、重要な分岐点に差し掛かっている。ここで米原油在庫の減少に逆行して下落することができれば、トレンドが下向きに転換した可能性が一段と高まろう。

ドル高回帰が実現すれば50ドル割れも可能な相場環境とみているが、既に1ヶ月半にわたってボックス気味の相場展開が続いている。チャート上は、どちらの方向に抜けても大相場に発展し易い状況になっている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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