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NY金1日:ドル高連動で小幅安、低インフレで一時急伸するも

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比1.10ドル安

始値 1,189.80ドル

高値 1,204.70ドル

安値 1,184.00ドル

終値 1,188.70ドル

為替相場がドル高方向に振れる中、戻り売り優勢の展開になっている。

アジアタイムは1,190~1,195ドルのレンジで揉み合う展開になったが、欧州タイム入り後にドル高連動で地合を悪化させた。ギリシャ不安からユーロ安・ドル高が促されたことが、ドル建て金相場の上値を圧迫した。白金相場との比較と下げ幅は限定されており、ギリシャリスクが金価格に対して一定のサポート要因になっていることが確認できる。ただ、「安全資産」の観点から金相場を積極的に買い進むような動きまでは見られなかった。

ニューヨークタイム入り後は、4月PCEデフレータがコアで前年比+1.2%となり、前月の+1.4%から大きく下振れしたことが、ポジティブ材料視される場面も見られた。米国内でのインフレ圧力の弱さが示されたことが、利上げ着手に対するハードルとして意識された模様。ただ、一時的に1,200ドル台を回復するのに精一杯であり、引けにかけては再びマイナス圏に沈んでいる。

上値の重さが確認されているが、下げ切ることもできない中途半端な相場環境が維持されている。米指標悪化を受けてのドル安にはブレーキを掛けたが、改めてドル高を進めるだけの確信も持ちづらい状況にある。今週は3日にADP、5日に労働省から5月分の米雇用統計発表を控えており、ここで改めて利上げ観測を高めていくことができるのかが試される。ここでトレンドが定まらないと、6月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までボックス相場が続く可能性も想定しておく必要がある。流れとしては、金利上昇・ドル高圧力と連動して下値模索の展開が維持されるとみているが、強めの経済指標やタカ派の要人発言が必要とされている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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