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NY原油18日:需給緩和見通しが再燃、小幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比0.36ドル安

始値 59.85ドル

高値 60.88ドル

安値 59.06ドル

終値 59.43ドル

特に目新しい材料などは見当たらなかったが、過剰供給環境の長期化に対する懸念が蒸し返され、小幅続落した。

先週末に発表された米石油リグ稼動数は前週比-8基の660基と23週連続で減少したが、これを手掛かりに更に上値を試すような動きは見られなかった。サウジアラビアとイエメンの停戦合意の期限切れといったポジティブ材料も見られたが、改めて相場を押し上げることには失敗している。逆に、米製油所稼働率の低下などを手掛かりとした需給緩和見通しが上値を圧迫し、戻り売り優勢の展開になっている。

これまで、米シェールオイルの減産で需給緩和状態が解消されるとの期待感も強かったが、現実の需給バランス改善が見込めない中、戻り売り圧力が徐々に強くなっている。米国の原油在庫増加には季節要因から一定のブレーキが掛かる見通しだが、歴史的な高在庫を解消する道筋を描けている訳ではなく、改めて需給の弱さが見直されている。また、本日は為替相場がドル高方向に振れたこともネガティブ。

急激な原油高は一服しているが、ドル安傾向が続いている間は、大きな値崩れは起きづらい。目先はドル高回帰の動きと連動して調整圧力が強まる展開を想定しているが、依然としてドル安傾向が続いていることが、下値をサポートしている。需給面では、米国のシェールオイル生産が鈍化し始めているが、OPECなどの大量供給が続く中、緩和状態は維持される。需給要因から買い進む必要性は乏しく、ドル安にブレーキが掛かれば調整圧力が強まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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