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NY原油12日:ドル安連動で反発、OPECは需要見通し引き上げ

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比1.50ドル高

始値 59.27ドル

高値 61.15ドル

安値 59.12ドル

終値 60.75ドル

為替相場が再びドル安方向に振れたことが好感され、地合を引き締めた。石油輸出国機構(OPEC)が5月月報において、総じて楽観的な需要見通しを示したこともポジティブに。

OPEC5月月報では、2015年の世界石油需要見通しは日量9,250万バレルとされた。前月の9,245万バレルから上方修正されている。OPEC産原油に対する推定需要も、前月の2,927万バレルから2,932万バレルまで上方修正されており、国際原油需給バランスの歪みは従来想定されていた程には拡大しない計算になる。もっとも、それでも4~6月期、7~9月期は供給過剰状態が続く見通しであり、需給均衡状態が実現するのは最短でも10~12月期になる。強弱どちらの評価も可能な状況が続いている。なお、4月のOPEC産油量は前月の日量3,083万バレルから3,084万バレルまで微増。ほぼ横ばい状態であり、市場観測が裏付けられた形になっている。

米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、OPECの戦略レポートで2025年までの原油価格は楽観的な見通しでも76ドル水準との見方が示されたと報じた。また、OPEC内で生産割り当て制への復帰も検討されていると報告している。ただ、OPECはこうしたWSJの報道内容を未定しており、マーケットも消化しきれていない。

本日の急反発に関してはOPEC月報の影響を指摘する声が強いが、実際の所はドル相場の反落に反応しただけの可能性が高い。これまでの「ドル安→ドル建て原油価格上昇」のフローは一服しているが、改めてドル高トレンドへの回帰がみられなければ、大きな値崩れは起きないことが再確認できる。目先はドル高回帰の動きと連動して調整圧力が強まる展開を想定しているが、為替相場が決め手を欠いていることが、金相場同様に原油相場の方向性も失わせている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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