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NY原油30日:イラン産原油輸出拡大の思惑で、期近が小幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比0.19ドル安

始値 48.57ドル

高値 49.16ドル

安値 47.61ドル

終値 48.68ドル

イラン核交渉が佳境に差し掛かる中、期近限月は小幅続落した。ただ、期先は小反発するなど、明確な方向性を打ち出せていない。

イランの核問題を巡る6カ国との協議は、31日の交渉期限を前に大詰めの局面を迎えている。現段階では特に具体的な進展はみられず、ケリー米国務長官は難しい問題が残っていると指摘している。ただ、同時に何らかの結論を出すことを視野に協議を続けていることも明らかにしており、イラン核開発を制限する代わりに、イラン産原油取引について何らかの規制緩和が行われる可能性がある。仮にイラン産原油取引に対する規制が緩和されることになれば、最大で日量100万~150万バレル程度の供給増加圧力となる可能性もあるだけに、マーケットの警戒感は強い。

一方、イエメンではサウジアラビアなどの軍事介入が続いているが、原油供給に対しては特に目立った影響が確認できないこともあり、リスクプレミアムを織り込むような動きは限定的。イランもサウジなどの介入を批判しながらも、強硬姿勢を打ち出している訳ではなく、改めて地政学的リスクのプレミアムを織り込むような必要性は高まっていない。

地政学的リスクの影響が排除されれば、原油相場が売られ易い地合に変化はみられない。なお過剰供給体制が維持されており、米国内で在庫保管能力の限界を試すリスクも否定できない。為替市場では改めてドル高圧力が強くなっており、上値の重さが再確認されるステージを迎えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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