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NY原油27日:イエメンリスクの織り込み一服で、急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比2.56ドル安

始値 51.01ドル

高値 51.38ドル

安値 48.78ドル

終値 48.87ドル

イエメンの地政学的リスクの織り込みが一服する中、急反落した。

サウジアラビアがイエメンのイスラム系シーア派武装勢力に対する攻撃を開始したことで、前日は地政学的リスクを織り込む形で急伸した。しかし、当面は地上軍の派遣といった本格的な軍事衝突は想定されていないことに加えて、イランが対話を呼び掛けるなど総じて柔軟な対応を示しているため、更にリスクプレミアムを織り込む必要性は乏しいとの見方が優勢になっている。

当然にイランがホルムズ海峡封鎖といった強硬策に踏み切れば、原油相場は瞬時に10ドル、20ドルと急伸する可能性は残されている。ただ、現時点では発生確率が低いシナリオの一つに過ぎないとの冷静な評価が強くなったことが、原油相場の急反落を促している。今後の続報には注意が必要だが、現実の供給トラブルが発生しない限り、継続的な原油価格の押し上げ要因にはならないだろう。

地政学的リスクの影響が排除されれば、原油相場が売られ易い地合に変化はみられない。なお過剰供給体制が維持されており、米国内で在庫保管能力の限界を試すリスクも否定できない。為替市場ではドル安圧力が徐々に鈍くなっており、上値の重さが再確認されるステージを迎えている。50ドルの節目もあっさりとした回っており、ダウンサイドリスクが高くなっている。

なお、ベーカー・ヒューズ社の発表した米石油リグ稼動数(3月27日時点)は前週比-12基の813基となっている。リグ数の減少ペースは鈍化するも、16週連続で減少している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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