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NY金27日:イエメン情勢の織り込みが一服し、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比5.00ドル安

始値 1,203.80ドル

高値 1,205.60ドル

安値 1,191.70ドル

終値 1,199.80ドル

地政学的リスクの織り込みが一服する中、反落した。

前日はイエメン情勢の緊迫化、それを受けての原油相場急伸を受けて、金相場は大きく買われる展開になった。突然の地政学的リスク浮上を受けて、売り方ファンドが当面の資金管理の視点からややパニック的に売りポジションの整理を行ったことが、金相場の急伸を促した。ただ、本日は原油相場が急反落したこともあり、一段と買い進むような動きは見られなかった。逆に週末を前に買い玉整理の動きが強く、前日の上昇幅を相殺する動きを見せている。

イエメン情勢には注意が必要だが、イランが本格的に軍事介入するような事態にならなければ、大きな混乱には至らないとの見方が優勢に。原油相場急落で中東産油国のパワーバランスは大きく変化しており、今後もこうした突発的な地政学的リスク絡みの動きは想定しておく必要がある。ただ、現時点では中東地区全体に何か大きな混乱が生じている訳ではなく、金価格に対する押し上げ効果は一時的なものに留まっている。

本日はドル相場が大きな動きを見せなかったこともあり、戻り売り圧力は限定された。しかし、地政学的リスクがこのまま材料として消化されていけば、改めてドルとの相関が重視される地合になる見通し。依然として米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル反落が金価格の下値を限定するが、ドル安の押し目確認の動きと連動して、金価格もピークアウトを確認することになるだろう。金上場投資信託(ETF)市場では、依然として大量の売り圧力が確認されている。

なお、引け後にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容が伝わっているが、年内の利上げが正当化される可能性に言及する一方、今後数年間は段階的な金利上昇が適切として、利上げ着手後も大きな金利上昇はないとの見方を示している。フィッシャーFRB副議長の発言内容をほぼ踏襲する内容になっており、ドル相場高・金相場安にブレーキを掛ける効果が想定される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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