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NY金20日:FOMC後のポジション調整が続き、大幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比15.60ドル高

始値 1,170.40ドル

高値 1,187.40ドル

安値 1,167.90ドル

終値 1,184.60ドル

米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて急伸した前日の地合を引き継ぎ、大幅続伸となった。

特に目新しい材料は見当たらず、アジア・欧州タイムは1,170ドル台前半を中心に揉み合う展開になった。ギリシャ債務問題が再びリスクオフの地合を招く可能性が警戒されていたが、本日はギリシャ国債も買われるなど、特に欧州地区の債務リスクを蒸し返すような動きはみられなかった。問題が解決された訳ではないが、ギリシャのチプラス首相が来週にも救済資金を獲得できる可能性を示唆したことで、この問題を手掛かりに金相場を一段と買い進むような動きは見られなかった。

ただ、ニューヨークタイムに入ると改めてショートカバー(買い戻し)を進める動きが優勢となり、二桁の大幅続伸になっている。何か特に決め手となるような材料があった訳ではないが、為替相場がドル安方向に振れたこともあり、週末を前に売りポジションの整理を一段と進める動きが優勢になった模様。FOMCをきっかけに早期利上げ観測が後退を余儀なくされる中、売りポジションの含み益を確定する動きが優勢になった。

引き続き為替相場次第の相場環境になるが、現在は急激なドル高が修正局面を迎えているのと同様に、金相場もダウントレンドのスピード調整を迫られている局面と評価している。FOMCをきっかけに一段と利上げ観測を織り込むことには失敗したが、最短で6月にも利上げが行われる可能性があるという基本環境は何も変わっていない。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はマーケットが利上げ時期の特定を進めて織り込んでいくことを強く警戒しており、ドル相場高・金相場安の流れが一本調子に進むことはない。今後も各種指標から利上げ期待を織り込み、それをFRBが牽制する動きが、利上げ着手ぎりぎりの状況まで続く見通し。基調判断が修正を迫られる局面にはなく、通常の調整高のレベルに留まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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