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NY原油19日:FOMC後の買いは続かず、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比0.70ドル安

始値 44.60ドル

高値 44.71ドル

安値 42.75ドル

終値 43.96ドル

前日は米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けてのドル反落が原油相場を押し上げていたが、本日は戻り売り優勢の展開になっている。

FOMCはドル相場の反落を促したが、改めて押し目買いの機会を提供するレベルに留まった可能性が高く、為替要因で原油相場を断続的に押し上げるような動きは見られなかった。既にドルインデックスはFOMC前の値位置に近づいており、「ドル安→原油高」の動きは一時的なものに留まっている。こうした為替要因からのサポートがなければ、引き続き米国内の過剰在庫が上値を圧迫し易く、本日は戻り売り優勢の展開になっている。前日の統計でも米国内の原油在庫は急増が確認されており、在庫貯蔵能力の限界が試されるとの警戒感が、原油相場の上値を圧迫するフローが維持されている。

加えて、クウェートのオメール石油相が、石油輸出国機構(OPEC)が緊急総会を開催する可能性を否定したことも、売り安心感に直結している。原油相場が1月安値を下回る中、改めてOPECの対応に対する注目度が高くなっている。こうした中、少なくとも現在の値位置ではOPECが減産を検討する可能性は低いとの見方が追認されたことが、サプライズ的な原油相場急伸リスクを後退させている。安値更新局面に再突入する中、引き続きベネズエラやイランなどからは減産対応を求める声が強まる可能性はある。ただ、サウジアラビアのファイサル王子も、特に市場介入の必要性はないとの見方を示しており、現実的にはOPEC主導で過剰供給を吸収するのは難しい。

既に米製油所稼働率の低下はピークを確認したと考えているが、目先は在庫積み増し圧力が原油相場の上値を圧迫するフローが維持される見通し。いずれかの時点で年後半の需給均衡見通しを織り込む必要性が高まるが、少なくとも在庫増加トレンドが維持されている間は、買い急ぐ必要性は乏しいだろう。なお、40ドル割れのリスクも想定しておくべきと考えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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