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NY金16日:小幅続伸、FOMCを控えてポジション調整中心

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比0.80ドル高

始値 1,157.90ドル

高値 1,163.30ドル

安値 1,149.30ドル

終値 1,153.20ドル

3月17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、小幅続伸した。

FOMCを前にして為替市場でドル高是正の動きが強まる中、アジアタイムの金相場は総じて底固く推移し、一時1,163.30ドルまで二桁の上昇幅を記録した。しかし、その後はドル安進行に逆行して売り込まれる展開となり、概ね前日終値と同水準で戻して引けている。米指標がやや低調だったことでニューヨークタイムは下げ渋ったが、プラスサイドを維持するのに精一杯だった。

FOMCを前に、ポジション調整中心の展開になっている。今週のFOMCでは金利フォワードガイダンスの修正が行われるとの見方が根強く、金相場の戻り売り基調が追認される可能性が高い。ただ、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)はマーケットが利上げ時期の特定を進めることを強く警戒していることもあり、声明文レベルでは大きく踏み込まない可能性もある。「辛抱強く」の文言に関しても、完全に抹消するのではなく、これを残した上で利上げを示唆する新たな文言が挿入されるといった見方もあり、実際の結果を待ちたいとのムードが強い。量的緩和政策からの出口はこれまで本格的に経験したことのないものであり、過去の経験則が活用しづらいだけに、FOMCがどのような政策判断を示すのかを見極めたいとのムードが強い。

また、今回はイエレンFRB議長の記者会見も予定されているため、同議長が2月の議会証言と同様に利上げに消極姿勢を示すリスクも警戒されている。少なくとも、議会証言から1ヶ月も経過していない中で政策スタンスを大きく修正するとは考えづらく、この辺も短期筋にショートカバー(買い戻し)を促す要因になっている模様。

このまま金融市場の大きな動揺などがなければ、ドル相場上昇・金相場下落のトレンドに修正を迫るのは難しい。価格低下でも現物筋からの引き合いは想定されていた程に強くなく、なお投機売り主導で下値を模索する余地は多く残されている。ドルインデックスやCRB商品指数との比較では依然として割高感の残る価格水準であることを再確認したい。FOMCに関しては、一時的な戻り圧力が発生するか否かの視点でみておけば十分だろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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