Yahoo!ニュース

ガソリンは6週ぶり、灯油価格は5週ぶりの値上がり

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

資源エネルギー庁が12月4日に発表した石油製品価格調査によると、12月2日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比+0.1円の157.0円となった。

前週までは国際原油価格の軟化を受けて5週連続で下落し、10月21日の160.1円をピークに累計で3.2円の下落となっていた。しかし、再び海外原油高と円安で原油調達コストが切り上がる中、僅か0.1円と小幅ながらも6週間ぶりの値上がりとなっている。

値上がり22都府県、値下がり17道府県、横ばい8県となっている。群馬県と岡山県がともに1.2円高となったのが目立つ一方、山形県は0.8円安、山口県は0.6円安となっている。

■原油調達コストの上昇を反映

12月2日時点の中東産原油価格は1バレル=106.75ドルとなっており、前週の106.15ドルから小幅上昇している。加えて円安の影響もあって、東京商品取引所(TOCOM)の原油先物相場(当限)は、前週の1キロリットル=6万6,450円から6万8,770円まで3.5%の急伸となっている。

ガソリン業者転売市場に目を向けると、パージ物で前週の12万5,500円から13万0,000円までの上昇となり、元売のガソリン出荷価格引き上げが小売価格にも反映され始めたとの理解で良いだろう。しかも、その後も海外原油高と円安傾向は維持されており、TOCOMの原油先物相場は2008年9月以来となる7万円の大台を回復している。現在の原油調達コスト環境を見る限りは、今後も大きな値崩れは想定しづらく、ガソリン小売価格は160円絡みの高値圏での取引が続く見通しである。

既に行楽シーズンは終わっているが、出荷環境も悪くない。石油連盟発表の石油製品供給統計に基づくと、11月30日の週の推定出荷量は前週比では-2.0%となるも、2週連続で100万キロリットル台を維持している。自動車の空調使用率が上昇していることで、燃費が悪くなっている可能性が指摘されている。

画像

■灯油も、良好な出荷環境と原調達コスト高を反映

一方、灯油店頭価格は1リットル102.0円となり、前週から0.4円値上がりした。これは今年の最高値であり、ガソリン同様に灯油も原油調達コストの高騰が反映されている。これまで目立った動きが見られなかった業者転売価格も上昇しており、漸く冬型の相場上昇圧力が観測されている。全国的な気温低下を受けて末端の出荷ペースは切り上がっており、需給環境も灯油価格の上昇を支持している。

気象庁が11月25日に発表した3ヶ月予報によると、「平均気温は、北・東日本で平年並または低い確率ともに40%」とされ、例年よりも厳しい寒さが予測されている。主要消費地である北日本の12月は「平年と同様に曇りや雪または雨の日が多いでしょう」とされており、暖冬による需要低迷シナリオが実現する可能性も低い。

今後も原油調達コストの上昇と堅調な需要環境を背景に、灯油価格はじり高傾向を維持する可能性が高い。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事