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ガソリン価格は4週連続の値下がり、灯油は未だ上昇せず

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

資源エネルギー庁が11月20日に発表した石油製品価格調査によると、11月18日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比-0.7円の1527.9円となった。

これで4週連続の値下がりであり、7月22日以来の安値を更新している。10月21日時点の160.1円をピークに、4週累計で2.2円(1.4%)値下がりした計算になる。若干の値下がり傾向が続いている。

■原油価格の反発で、先物相場は上昇中

11月18日時点の業者転売価格はパージ物で1キロリットル=12万5,000円となっており、前週から1,500円の値下がりになっている。輸入原油価格は漸く下げ止まったが、ガソリンに関しては国内需給緩和圧力が嫌気され、下値切り下げ傾向が維持されている。

石油連盟によると、10~16日の推定出荷量は前週比+1.5%の91万1,944キロリットルと上振れしているが、在庫は約1ヶ月半ぶりの高水準に達しており、生産規模に見合った水準に到達していないことは明らかである。今年は夏と冬との間が短かったことで、秋の行楽需要も堅調とは言い難く、ガソリンの値下げ圧力になっている。

ただ、ドバイ産原油は前週の1バレル=103.55ドルから106.05ドルまで上昇しており、このままガソリン相場の値下がりが続く可能性は低いとみている。為替市場では再び円安傾向が強くなっていることもあり、少なくとも大幅な値下がりは許容できない。

実際、東京商品取引所(TOCOM)では、来月が受け渡し期限となる当限は軟調地合を強いられているものの、6ヶ月先に取引期限を迎える期先限月は10月中旬の値位置を回復しており、先高感が強く反映されている。11月18日終値で見ると、当限は1キロリットル=7万3,100円となっているのに対して、期先は7万6,860円に達しており、当先のスプレッドは09年10月以来の5,000円台乗せも視野に入れ始めている。

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■灯油は業者レベルでの出荷は好調だが

一方、灯油店頭価格は1リットル=101.8円となり、4週連続で横ばいとなった。いよいよ出荷が本格的に上向いているが、末端需要はまだ盛り上がりを欠いていることで、季節要因を反映した値上がり圧力までは確認できていない。北海道や岩手県などでは若干の値上がりが報告されているが、全国的にはまだ灯油価格に目立った値動きは発生していない。業者転売価格も概ね横ばいに留まっている。

今後は、北海道や東北地方の気温動向が焦点になるが、気象庁の最新予報では来週の最高気温・最低気温はともに大きな変動がない見通しであり、灯油需要は緩やかな増加傾向に留まる可能性が高い。ただ、気象庁の3ヶ月予報では12月以降に徐々に寒波が強まる見通しになっており、今後は末端消費者レベルでの需要拡大が、原油価格の反発傾向とあいまって、灯油価格を押し上げる可能性が高いとみる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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