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【内部映像】炎天下で「シゴキ」を受ける金正恩の兵士たち

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
炎天下の副業地で「シゴキ」を受ける北朝鮮の兵士たち(デイリーNK)

北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第5回拡大会議が18日、金正恩党委員長の指導の下に開催され、軍内での思想・組織統制をいっそう強化する方向性が示された。北朝鮮の軍内では最近、こうした会議に対する反感が強まっているという。

これは金正恩氏の鶴の一声で、軍総政治局、総参謀部、人民武力省、保衛局(前保衛司令部)がいっせいに、傘下の部隊に多くの指示を与えるためだ。また、このような指示はそのまま末端兵士たちの課題となり、わずかな休息時間を奪っていくからである。

これと関連し、韓国デイリーNKは北朝鮮の現地情報筋を通じて軍の兵士たちが「シゴキ」を受ける場面の映像を入手し、22日付で公開した(下)。

撮影されたのは17日の午後で、場所は非公開。兵士らが炎天下、中隊の副業地で道具もなく草取りを行っている。副業地とは、部隊の食糧の足しにするために与えられた畑のことだ。飢えの蔓延する北朝鮮軍では、副業地の管理は重要な任務とされる。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

この時期、北朝鮮軍は夏季訓練に突入に入っている。期間中、一般の兵士たちは夜間警戒任務に就くため、昼食から夕食までの時間は休憩することになっている。ところが前述したとおり、上部から頻繁に出される課題をこなすため、ろくに休憩もできずに動かなければならない。その間にも副業地の管理を怠るわけにはいかない。映像はそうした実情を見せるものだという。

映像では数人の兵士が走り回り、草の束を集めては上官に敬礼している。これが紀律化された体力錬成の一環なのか、個人的な感情による「イジメ」「シゴキ」なのかはわからない。いずれにしても、ろくに食べられず体力不足が懸念される北朝鮮の兵士たちにとっては、相当に過酷な作業に見える。

兵士らは新型コロナウイルス対策としてマスクを着用しているもようで、炎天下での息苦しさが伝わってくるようだ。

情報筋によれば、「夏季訓練の間、一般の兵士たちは週5日間は軍事講義と訓練、戦闘勤務でへとへとになり、土日も学習、講演、映画文献(記録映画)、問答式(金正恩氏の指示などの暗記)などで忙しい日々を送る。息抜きが出来るのは午後の休憩時間くらいだ」という。

しかしそれも、今では上層部の忠誠心競争のために「絵に描いた餅」となった。情報筋は「このような状況になると、士官たちも休む暇はない。だから兵士に、こうした形で八つ当たりするケースも増えるのだ」と付け加えた。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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