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金正日・正恩親子の「女性関係」が北朝鮮国民にバレ始めた

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正日氏(左)と金正恩氏

北朝鮮国内で最近、マレーシアで殺害された金正男氏の遺体がどのように「処理」されたかについて、庶民の関心が集まっているという。

金正男氏は今年2月13日、異母弟である金正恩党委員長が放ったと見られる刺客の手により殺害された。

(参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者

そしてその46日後の3月31日、自国内に滞在するマレーシア国民を人質に取るという、北朝鮮当局のなりふり構わぬ駆け引きの結果、金正男氏の遺体は現地から祖国へと移送された。

こうした動向の詳細は、北朝鮮国内ではいっさい、明かされてこなかった。しかし、そのように情報を隠ぺいしようとしていることがむしろ、庶民の関心を呼んでいるようだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)に住むデイリーNK内部情報筋によれば、「元帥様(正恩氏)の腹違いのお兄さんに関する話は、平壌と平城(ピョンソン)の市場を通じて広まっている。海外での活動中に死んだお兄さんの遺体が帰ってきたということも、多くの人が知っている」という。

そして、そうした情報に接した人々の中で、ひとつの疑問が頭をもたげることになった。

「元帥様の家族の遺体が帰ってきたのに、国葬が行われないなんておかしい。お兄さんは海外で、大きな罪を犯したのではないか、と考えるようになった」(情報筋)

北朝鮮の人々が、このように考えるのも無理はない。正男氏の存在は、父である故金正日総書記の凄まじい「女性遍歴」に直結するものでもあり、少数の幹部を除き、徹底的に秘密にされてきたからだ。

(参考記事:金正日の女性関係、数知れぬ犠牲者たち

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実際、北朝鮮の人々は正男氏の存在をきっかけに、「元帥様たちの家庭には、どうやら複雑な問題があるようだ」気付き始めているのだという。

情報筋はまた、「正男氏の件を知った人々は、『遺体は人知れずどこかに埋められてしまったのではないか』と考えている」と話す。

もっとも、金ファミリーについて噂話をしていることが当局に知れれば、死刑や政治犯収容所送りなどの重罪に問われかねないので、北朝鮮の人々もこのような話を大っぴらにするわけではないという。

しかし、金ファミリーを包んできた秘密のベールにも、相当に大きなほころびが出来てきたと言えそうだ。

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デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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