北朝鮮ドローン部隊が「韓国爆撃」を継続中
文在寅新大統領が就任したばかりの韓国で、北朝鮮の「ドローン(無人航空機)部隊」が首都圏を無慈悲に「爆撃」し、色々なモノを破壊している。
といっても、空から落とされているのは火薬の詰まった爆弾ではなく、大量の宣伝用ビラやCDだ。
(参考記事:北朝鮮の宣伝ビラが韓国乗用車を無慈悲に粉砕…ドローンで散布か?)
韓国の通信社、ニューシスによると、ソウル市北東部の中浪区で14日午前1時20分ごろ、民家の屋根をビラとCD数千枚が突如、直撃。大きな音に驚いた住民が警察に通報した。屋根は衝撃で瓦の一部が破損し、隣の民家の一部も破損していた。
住民はメディアに、「寝ていたところ、ドンという大きな音がしたので階段を上がると、ビラが散乱していた」と述べている。
ビラには「518民主化運動(光州事件)と関連した新たな事実が発見された」「核戦争はわが国(北朝鮮)式の対応でやる」などと書かれていた。
北朝鮮はビラを風船で飛ばす方法も用いているが、荷物が重くなれば風船も大きくなり、発見されやすい。北朝鮮は2014年、ソウル中心部の青瓦台(大統領府)上空までドローンを飛ばした「実績」がある。ビラ投下にもドローンを用いている可能性は低くない。
CDの内容は確認されていないとニューシスは報じているが、ネットに掲載されたCDのジャケット画像をデイリーNKジャパンで分析した結果、朝鮮中央テレビが4月9日の午後1時から放送した番組「首領決死擁衛の銃隊戦士として、一生涯を輝かしめん」と思われる。
聯合ニュースによると、同じ日に隣接する蘆原区の小学校の運動場などでもビラ1万4000枚が発見されている。
北朝鮮は、韓国の北朝鮮向けの拡声器放送などに激しく反発し、昨年1月ごろからプロパガンダ用のビラを韓国に飛ばし続けており、様々なモノの被害が出ている。ただの紙とはいえ、何千、何万枚もまとめればかなりの重量になる。そんなモノがいきなり上空から落下してくるのだから、危険なことこの上ない。
(参考記事:韓国を襲う北朝鮮「ビラ爆弾」、今度は貯水タンクを無慈悲に粉砕)
先月18日には仁川で太陽節(金日成主席の生誕記念日)を祝うビラが792枚、3月28日には金正恩党委員長を褒め称える内容のビラ6000枚が発見されている。韓国国防省の発表によると、昨年1月から今年2月までの間にビラが発見された日は269日に及び、軍当局が回収したビラの枚数は203万9898枚に達する。
北朝鮮がいくら懸命にビラを飛ばしたところで、韓国国民にとっては、嘲笑の対象に過ぎない。
京畿道議政府市に住むソン・ジュヒョンさんはMBNの取材に、「何十年もデザインが変わっておらず、手に取ろうとすら思わない。寒いコントのようだ、何のために飛ばしているのか分からない」と述べている。
しかし北朝鮮も、本当に効果があると思って宣伝ビラを飛ばしているのだろうか。大昔、北朝鮮が経済的に韓国を凌駕していた時代ならまだしも、いまどき時代遅れの独裁国家の口車に乗るのは、ごく一部の特殊な思想を持つ人だけだ。
となると、北朝鮮の目的は別のところにあるのではないか。もしかしたら、ドローンで韓国領内にモノを落とす訓練をしているのではないのか。小さなドローンでは、本格的な爆弾を運ぶことはできない。しかし韓国社会に混乱を起こすためであれば、数キログラムの小さなものを、大量に落とす方が効果的とも言える。
筆者の杞憂に終われば良いのだが。