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USオープンで2度目の決勝進出を果たした大坂なおみは、真の女王になるための道程を着実に歩んでいる!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
USオープンで充実度をうかがわせる大坂(Photo by USTA Photo)

 大坂なおみは、準決勝の勝利が決まった瞬間、ウィム・フィセッテコーチたちがいる方向を向いて、両手でガッツポーズをつくりながら満面の笑顔をつくった。準々決勝までは、マッチポイントを決めた瞬間でも、ほとんど表情を変えず、ガッツポーズも大きくしないで淡々としていたが、ついにコート上で大坂の勝利の笑顔を見ることができた。

 USオープン準決勝で、第4シードの大坂(WTAランキング9位、8月31日づけ、以下同)が、第28シードのジェニファー・ブレイディ(41位、アメリカ)を7-6(1)、3-6、6-3で破り、ニューヨークで2年ぶり2度目の決勝進出を決めた。グランドスラムでは通算3度目の決勝進出となる。

 準決勝の第1セットでは、お互いすべてのサービスをキープしてタイブレークの末、大坂がセットを先取した。

 第2セットでは、第8ゲームで30-30から、大坂がバックのミスとフォアの逆クロスのミスで2ポイント連続で失い、ワンチャンスを活かした形でブレイディが初めてブレークに成功。両者にとって初めてのサービスブレークだったが、このワンブレークによって、ブレイディがセットオールとした。

 そして、ファイナルセットでは、第4ゲームで、ブレイディがバックのクロスをネットして15-30になった時わずかに気落ちした瞬間を、大坂が見逃さずに2ポイント連取してブレークに成功し試合の流れを引き寄せ勝負を決めた。

「彼女は本当にいいサーブを打っていた。彼女のサーブをブレークするのは本当にタフなこと」とブレイディが振り返ったように、大坂のファーストサーブの確率は57%だったが、ファーストサーブでのポイント獲得率が84%で非常に高く、ブレイディは大坂のサーブを最後まで攻略することができなかった。

 結局、大坂がサービスエース9本を含む35本のウィナーを決める一方で、ブレイディは果敢に攻めながら大坂と同数の35本のウィナーを放ちながらも、25本のミスを犯した。

 先を見過ぎずに一試合一試合の戦いを心がけている大坂だが、グランドスラムのセカンドウィークに入り、自らのテニスをギアアップする中で思わず本音ものぞかせている。

「トロフィーを勝ち取りたいです。だからこそ私はここにいるのです。もちろんしばらくそのポジションに私は到達できていないけれど、今私は本当に調子の良さを感じています。みんなが私と同じように頂点を狙っているのはわかっています。だから毎試合戦っていくのです」

 決勝で、大坂は、ノーシードで勝ち上がって来たビクトリア・アザレンカ(27位、ベラルーシ)と対戦する。対戦成績は大坂の2勝1敗。実はこの対戦カードは、USオープンの前哨戦の決勝で、大坂が左足ハムストリングのけがのため棄権して実現しなかったもので、2週間が経って改めて好調な2人が対峙することになった。

 元世界ナンバーワンで、31歳のアザレンカは、2013年USオープンの準優勝以来7年ぶりの決勝進出で、母親になってからは初めてのグランドスラム決勝となる。

「彼女(大坂)は、とてもパワフルな選手で、偉大なチャンピオンです」

 こうアザレンカが大坂の印象を語る一方で、大坂はアザレンカの印象を次のように語る。

「今、彼女(アザレンカ)は、本当に自信を持っています。すごく動きがいい」

 アザレンカとの決勝が間違いなくタフになることを見込んでいるし、アザレンカを倒さなければ、優勝へ到達できないのだが、それより勝利へ至るのに一番大事なのは何よりも自分次第であることを大坂は自覚している。

「正直、年齢を重ねるごとに、メンタルはより強くなっているように感じます。長年ツアーにいて、たくさんの試合をする中で学んできているんだと思います。2大会(前哨戦とUSオープン)での私の目標は、精神的により強くなること、毎ポイントファイトすることです。それらができたからこそ、決勝に辿り着けたのです。変えるつもりは何もありません。正直、誰が相手かは問題ではありません。なぜなら自分自身の心の中へフォーカスするだけだからです」

 今、精神的に確かな成長を遂げている大坂は、真の女王になるための道程を着実に歩んでいる。

 大坂とアザレンカ、共にグランドスラムで2回優勝しており、勝った方が3つ目のグランドスラムタイトルを手にすることになる。

「アメイジングな決勝になるでしょう。楽しみ」とアザレンカが語るように、好調な2人によって争われるUSオープン女子シングルス決勝は、歴史に残る名勝負になりそうだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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