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ユニクロは初のチームブランドアンバサダー「ユニクロ チーム スウェーデン」とどんな化学反応を起こすか

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ユニクロ チーム スウェーデンが結成され新たな絆が築かれた(写真はオフィシャル)

 日本国内だけに留まらず海外進出も積極的に行っている株式会社ユニクロ(代表者・柳井正氏)が、2021年開催予定である東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スウェーデンのトップアスリート11名(パラトップアスリート3名含む)とレジェンド2名、合計13名で構成される、ユニクロ初のチームブランドアンバサダー「ユニクロ チーム スウェーデン」を結成した。ユニクロが、選手およびチーム単位で契約するのは初めてとなる。

 今回選ばれた13名の選定では、株式会社ファーストリテイリング グループ上席執行役員で、ユニクロの2020_2022オリンピック・パラリンピックプロジェクトを担当する柳井康治氏が、スウェーデン選手とじっくり話をしながら、人間性やキャラクターを重視しながら決めていった。日本好きであったり、日本選手と対戦したことがあったりしたスウェーデンの選手も選ばれている。

「2019年1月に、パートナーシップを発表して以来、ユニクロは、スウェーデン選手団にウェアを提供してきました。東京オリンピック・パラリンピックに向けては、新たに結成された『ユニクロ チーム スウェーデン』と密に協力し、彼らの優れた洞察を活かし、高品質で革新的、かつサステナビリティの要素を含む新しいライフウェアコレクションのデザインに取り組んでいます。引き続き彼らと協働し、明るい未来の実現に向けて共に前進してまいります」(柳井氏)

 以下のトップアスリートの11名には、東京オリンピック・パラリンピック出場内定選手が含まれている。

  アグネス・アレクシソン(女子ボクシング)

  アレックス・ケシディス(男子レスリング)

  アントン・ダールベリ(男子セーリング)

  フレドリック・ベリストローム(男子セーリング)

  ジェニー・リスヴェッズ(女子マウンテンバイク・クロスカントリー)

  リネア・ステンシルス(女子カヌー)

  マティアス・ファルク(男子卓球)

  ソフィア・マットソン(女子レスリング)

  アナ=カリン・アールクヴィスト(女子車いす卓球・パラ)

  リナ・ワッツ(女子競泳・パラ)

  トビアス・ジョンソン(男子陸上・走り幅跳び・パラ)

 レジェンドでは、過去にオリンピックで大活躍した2名が選ばれた。

  ヨルゲン・パーソン(元男子卓球代表、男子代表監督に2020年10月に就任予定)

  ロッタ・シェリン(元女子サッカー代表)

 スウェーデンオリンピック委員会CEOのピーター・レイネボ氏と、スウェーデンパラリンピック委員会会長のオーサ・リナレス・ノーリン氏は、ユニクロとスウェーデン代表の間に、新しい絆が結ばれたことを喜んだ。

「東京オリンピックに向け、ユニクロとのパートナーシップを強化し、未来に向けた新しいシナジー(相乗効果)を共に確立していると感じています。われわれの目標は、2021年に少なくとも20,210人の子供たちが新たなスポーツと出会い、さらに(スウェーデン選手が)東京大会でメダルを獲得することです」(レイネボ氏)

「スウェーデンのパラリンピアンや、すべてのパラスポーツ選手のために、スポーツの持続可能性や強さを共に築くことができると信じています。そして、これは人々の健康的なライフスタイルのキーとなり、将来のより強いチームを構築するための基盤になると信じています」(ノーリン氏)

 また、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーであるプロテニスプレーヤーの錦織圭と車いすプロテニスプレーヤーの国枝慎吾が、スウェーデンチームへ歓迎のコメントを送った。

「チームスウェーデンが、新たにユニクロファミリーの一員となり、一緒に世界のスポーツを盛り上げていけることを嬉しく思います。来年、東京オリンピックでぜひ会いましょう」(錦織)

「世界のパラスポーツを一緒に盛り上げていけることを楽しみにしています。ユニクロと僕らと一緒に頑張りましょう」(国枝)

 ユニクロは、2021年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スウェーデンオリンピック委員会とスウェーデンパラリンピック委員会との共同声明「TOGETHER FOR THE FUTURE」も発表した。2020年内には、新しいプロジェクト「DREAM PROJECT by UNIQLO」を立ち上げる。スウェーデン各地の町を巡って、スポーツによる交流を深めながら社会貢献活動を行っていく。

「『友情』、『尊重』、『卓越』の価値の創造を目指しながら、このドリームプロジェクトを通じて、スウェーデンの若者や子供たちが好きなスポーツを見つけることを応援し、人々がアクティブで健康的なライフスタイルを過ごせるようになることを願います」(レイネボ氏)

 さらに、スウェーデン選手団を応援する公式ウェアの1つである「SWEグラフィックTシャツ」を、7月23日よりスウェーデンのユニクロ店舗とオンラインストア(※スウェーデン国外在住の人は購入できない)にて販売する。

 そして、8月28日には、ストックホルムにスウェーデン1号店であるクングストラッドゴーダン店に続いて、モール・オブ・スカンジナビア店が、スウェーデン2号店としてオープン予定で、オープン記念のイベントには、今回選ばれたスウェーデン代表のアスリートが来店する予定だ。

 常にユニクロが掲げているのは、“クオリティ(高品質)”、“イノベーション(革新性)”、“サステナビリティ(持続可能性)”で、これらをベースにして、人々の生活の豊かさと関わりながら、人々に満足してもらえるようなライフウェア(究極の普段着)の提供をユニクロは目指している。

 今後ユニクロは、スウェーデンのオリンピック・パラリンピック両委員会との関係を深めていく。世界の舞台で挑戦するアスリートの姿を通して、ユニクロとスウェーデンにどんな化学反応が起こるのか非常に楽しみだし、そこからどんな新商品が生まれるのか楽しみが尽きない。

 最後に、テニス関係者の1人としてひとつ残念だったのは、ステファン・エドバーグが、「ユニクロ チーム スウェーデン」のレジェンドに選ばれなかったことだ。

 エドバーグは、テニス4大メジャーであるグランドスラムで6回優勝し、世界ナンバーワンにもなった元プロテニスプレーヤー。端麗な甘いマスクで、ブロンドの髪をなびかせながらテニスをプレーする姿は流れるように美しく“北欧の貴公子”と呼ばれて、日本では絶大な人気を誇った。

 オリンピックでのエドバーグは、1984年ロサンゼルスオリンピックに出場し、公開競技であったテニスの男子シングルスで金メダルを獲得した。さらに、1988年ソウルオリンピックでは、1924年パリオリンピック以来となる正式競技へ復帰したテニスで、男子シングルスと男子ダブルスで銅メダルを獲得したのだった。

 もし、「ユニクロ チーム スウェーデン」のレジェンドで追加メンバーを、今後ユニクロが検討することがあったら、ぜひエドバーグをご一考いただきたい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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